人に勧められなくても「幸せ」
「他の人にも人なれしていない猫の譲渡をおすすめしたいか」と聞くと、田中さんは少し考えてから、率直な意見を伝えてくれた。
「やっぱり猫に興味がある知人にチヂミちゃんのことを話すと、『家に来てたった3カ月で病気になるの…?』と驚かれます。数十万の治療費がかかった話も『猫ってそんなお金がかかるの?』という反応でした。保護猫には病気のリスクが高い子もいますし、軽い気持ちで迎えると飼い主と共倒れになってしまうこともあります。なので、終生飼育を本気で考えた上で迎えるべきだと思います」
最後に、「チヂミちゃんを迎えてよかったか」と尋ねると、田中さんは「良かったです。本当に幸せですね」と笑顔で即答した。
「胃腸が弱くて私のお米より高い療養食も食べているし、もう金のかかる女です(笑)。でも、だから可愛い。もう、頑張って稼ぎます!」
その譲渡会の日、ケージの隅で心を閉ざしていた1匹の猫は、ひとりの人間の深い覚悟によって、安らぎと愛情に満ちた場所を見つけたのだった。
取材・文=古澤誠一郎
写真提供=田中千鶴さん
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