すっかり人間の生活に溶け込み、癒しの存在となっている猫ですが、よくよく観察してみると野生の頃の習慣が数多く残っていることに気付きます。
驚きの身体能力を象徴するような背中から落下しての足での着地、気持ち良さそうに寝ているようで何やら警戒していそうな寝姿、のどをゴロゴロ鳴らして甘えるくせに攻撃もする複雑な心理。
これらの行動を理解できたら猫の気持ちがもっとわかるかもしれません。最新科学で明かされた猫の新事実などについて動物の生態に詳しい富田園子さんに連載で教えてもらいました。
今回は「なぜ猫が空中で向きを変えることができるのか」を解説します。
わずか0.5秒で立て直し
猫は高いところから落ちたとき、たとえ仰向けの姿勢だったとしても空中で体を立て直し、足から着地することができます。これを「空中立位反射」と呼びます。
この反射は生後23日頃に現れ、40日頃には完璧に足で着地できるようになるそうです。自分の体高と同等の高さがあればくるりと体を立て直すことができ、それにかかる時間はわずか0.125~0.5秒。猫に目隠しをしてもこの反射は起きます。
実はウサギやラット、キツネにも空中立位反射はあり、猫に特有というわけではないのですが、実際に人が目にする空中立位反射は身近な猫ばかりだったのでしょう。昔から猫の空中立位反射は注目されてきました。特に物理学の面で。
なぜ猫に物理学?猫は「物」じゃないし…と思わなくもないですが、学者の探求心は抑えられません。19世紀のヨーロッパでは、猫の空中立位反射を物理学でうまく説明できず、議論の的となりました。
