人に慣れていない“シャーシャー猫” だけを集めた譲渡会が、猫好きのあいだで話題を呼んでいる。

主催するのは埼玉県川越市を中心に猫の保護活動や保護猫カフェの運営などを行う「保護猫カフェねこかつ」。13年で約5000頭の猫たちを保護・譲渡してきた保護猫活動団体だ。

この特殊な譲渡会を開催する理由と、反響の背景を代表の梅田達也さんに聞くと、保護猫を取り巻く構造的な課題と、梅田さんが抱く強い信念が見えてきた。

 “シャーシャー猫”を集めた理由

「保護猫カフェねこかつ(以下、ねこかつ)」が、人をシャーシャーと威嚇するような「人馴れしていない猫」だけを集めた「最強の保護猫譲渡会(以下、シャー猫譲渡会)」を始めたのは2024年2月。

11月24日に東京・目白駅近くの会場で開催予定の譲渡会が第4回目になる。

11月24日開催予定の「最強の保護猫譲渡会」のポスター
11月24日開催予定の「最強の保護猫譲渡会」のポスター
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梅田さんによると、まず開催の背景には、「人に慣れていない猫ほど譲渡の機会が極端に少ない」という現実がある。譲渡の機会となる猫カフェでは人前に出ている割合が低いうえ、譲渡会でも子猫や人懐っこい猫のほうが人気。人馴れしていない猫は譲渡会に参加すらできないことも多いからだ。

「保護猫カフェねこかつ」代表の梅田達也さん
「保護猫カフェねこかつ」代表の梅田達也さん

梅田さんは言う。

「人に慣れるまで1年以上かかる子もいますし、3年経っても人に心を開かないままシニア猫になる子もいます。猫の一生を考えると、早い段階で飼い主さんのおうちに行ったほうが絶対に幸せですし、『保護猫にはこういう子たちもいて、この子たちも幸せになれるんだよ』というメッセージになることも意識して、この譲渡会を開催しています」