猫が必ずどこかに出てくる本だけが並び、店員は人ではなく猫が務める…。そんな一風変わった書店が東京・世田谷区にあるのをご存じだろうか。お店の名前は「Cat's Meow Books」。
猫×書店というアイデアの源には「救えなかった小さな命がある」と話すのは、店主の安村正也さん。開店までの経緯や“猫店員”たちとの出会いについて聞いた。
育児放棄された3匹の子猫
20年ほど前、安村さんが暮らしていた家の中庭で野良猫が3匹の子猫を産んだ。陰ながら猫たちの様子を見守っていたが、あるとき、母猫が育児放棄をしてしまい…。
「弱々しく鳴きながら1匹、2匹と亡くなっていきました」
残された1匹の命を見過ごすことができない…。安村さんはまだ目も開いていなかった子猫に“三郎”と名前をつけ飼う事を決めた。
当時は「保護猫」という言葉が、世間にまだ浸透していなかった時代。安村さんは「保護猫活動について知っていれば、どうすればいいかの助言をもらったり、助けを求めることができた」と、2匹の小さな命を救えなかったことを今でも後悔しているという。
猫と書店が助け合う
この経験から、行き場のない猫を救う活動の支援をしていきたいと強く考えるようになった安村さん。
以前からコンセプトを持った書店を開きたいと考えていたこともあり、猫が出てくる本だけを置き、売り上げの10%を保護猫団体へと寄付することも決めた。
店長には保護した三郎くんが就任、2017年に猫本専門店「Cat's Meow Books」はスタートする。
また、オープンに伴い、保護猫を看板猫として迎え入れて興味を持ってもらうことで「猫と書店が助け合う関係」を目指した。
「飼い主を待っている子はたくさんいるということを宣伝する、アンテナショップの役割を果たしたいなと」
そんな中、安村さんが保護猫カフェを訪れる中で出会ったのは、飼い主が見つからずにいた、猫エイズキャリアの4匹の猫だった。
「元々、引き取り手が見つかりにくい子を探していたので、これまでに4匹を“猫店員”として迎え入れました」
