オフィスなどで日常的に使われるコピー用紙。多くの人が何気なく手にしているが、ふと疑問に思ったことはないだろうか。「これって、表と裏、どっちなんだろう?」と。
ちょっと気になるこの謎を解明しようと、“紙の専門家”を訪ねることにした。
「紙のデパート」で明かされる真実
紙の真相を探ろうと訪ねたのは、創業75年を誇る福井市の紙問屋「ダイゲンコーポレーション」。
コピー用紙はもちろん、洋紙や和紙など1万種類以上の紙を取り扱う、まさに「紙のデパート」だ。
店内には、植えると自然分解されて花が咲く紙や、水中でも文字が書けるプラスチック製の紙など、ユニークな商品も並ぶ。実に奥深い、紙の世界。
さっそく、“紙販売のプロ”中村勇輝さんに本題をぶつける。
「コピー用紙に『表』と『裏』ってあるんですか?」
「無いようで、ある」その真意とは?
中村さんは、少し間を置いてこう答えた。
「コピー用紙の表と裏は…無いようで、あるんです」
一体、どういうことなのか。
中村さんによると、私たちが普段「コピー用紙」と呼んでいるものは、印刷用紙の一種「上質紙」にあたるという。
そして、紙の中には明確に表裏が存在するものもある。例えば、片面がツルツルした「コート紙」や、もう片面が「上質紙」という特殊な紙だ。このような一部の例外的な紙には、確かに表と裏がある。
しかし、「一般的なコピー用紙に関して言いますと、表裏は大差がないので、いわゆる無いものだと思っていただいて構わないと思います」と中村さんは続ける。
つまり、一般的なコピー用紙はどちらの面をプリンターにセットしても仕上がりに大きな差はない、というのが結論だ。
かつては存在した「表」と「裏」
だが、話はここで終わらない。実は、かつてのコピー用紙には表と裏が存在したというのだ。
大手印刷用紙メーカーの話として、中村さんは「2000年頃、一般的にコピー印刷機で両面印刷というのも主流になってきた頃を境に、『表裏』が大差の無いようなコピー用紙が作られるのが主流になったと聞いています」と説明する。

紙に表裏があると、両面印刷の際に紙詰まりを起こすことが多かったこともあり、メーカーは両面にスムーズに印刷できるよう、表裏の差がない紙を開発したというのだ。
今や、表も裏もなくなったコピー用紙。その消えた境界線は、時代のニーズに応えた「進化」の証だったのである。
あなたの身の回りにある、普段は当たり前のように使っている物にも、こうした知られざる物語が隠されているのかもしれない。
