“ご飯のお供”として食卓でおなじみの「たらこ」と「辛子明太子」。「違いが分からない」「焼くのが面倒で、明太子ばかりに…」「そもそもタラコって、そのまま食べられるの?」視聴者から寄せられた疑問を解明するため、取材班は福井市内の食品会社へと向かった。
製造過程では“プロ”も見分けがつかない
訪ねたのは、福井市にある「丸市食品」。創業45年を誇る「たらこ」と「辛子明太子」の老舗だ。直売所の奥には工場が併設され“できたて”を味わうこともできる。
さっそく、丸市食品の菅哲也さんに両者の“違い”について尋ねてみた。
すると「たらこと辛子明太子は、どちらもスケトウダラの卵を使っています」との答えが。つまり、原料は同じということだ。
運命を分けるのは「味付け」だという。「たらこは、塩を中心に味付けをして漬け込んだもの。そのたらこを、酒や唐辛子エキス、ミリンなどで作った調味液でさらに漬け込んだものを辛子明太子といいます」と菅さん。
さらに、漬け込み時間にも差が。たらこが48時間なのに対し、明太子はその倍の時間を要するというのだ。(※丸市食品の基準)
製造過程では見た目で区別がつかないため、丸市食品では容器の色を分けて作業ミスを防いでいるという。
「明太子」の語源は韓国語
さらに菅さんが教えてくれたのは「明太子」という名前の語源。
「韓国語でスケトウダラのことを『ミョンテ』。明太という字を書いて、ミョンテと呼びます。その子供なので、『明太子』という名前が付けられました」
つまり、「明太子」と「たらこ」は、もともと同じ「タラの子」を意味する言葉だったのである。
北海道と九州、2つの食文化をルーツに持つ
では、唐辛子で味付けされた「辛子明太子」はどこで生まれたのか。
かつて韓国では、スケトウダラの卵や内臓はキムチのコクを出すための原料として使われる程度だったが「それを福岡に持ち帰って製品化したものが『辛子明太子』のルーツ」と菅さんは語る。
その名残からか、今でも西日本、特に九州地方では、塩漬けの「たらこ」のことを「明太子」と呼び、「辛子明太子」を「辛子漬け」と区別する地域があるという。
一方、塩漬けの「たらこ」のルーツは北海道にあるといい「一つの食材で、北海道と九州という2つの地域で食文化をもつ食材というのは、非常に珍しいと思う」と菅さん。
「たらこは生で食べられる?」専門家の答えは―
最後の疑問、「たらこはそのまま食べられるのか?」という問いに、菅さんはきっぱりと「食べられます」と答えてくれた。

流通や冷凍の技術が発達していなかった時代に、安全のため火を通して食べる文化が広まった。しかし、現代では衛生管理や輸送技術が向上し、どのメーカーの製品も安心して生で食べられる食材となっているという。
最後に、菅さん自身は「たらこ派」か「明太子派」か、という究極の質問を投げかけてみた。
「どちらも捨てがたいですね」と明言を避けたものの「実を言うと、『たらこ』の方がいい原料を使っています。『たらこ』は塩と調味料のシンプルな味付けなので、原料が良いものでないと」と教えてくれた。
同じスケトウダラの卵から生まれながら、味付けや歴史、文化によって異なる道を歩んできた「たらこ」と「辛子明太子」。何気なく手に取っていたというあなたも、背景を知るとちょっと見方が変わるのでは―
