「爪切りという刃物で爪を切ると、爪の断面には角が立ちますし、複数回に分けて切るので段差ができます。やすりをかけずに放置すると、衣類に引っかかったり、爪自体が傷んだりすることがあります」
やすりを使う際にも実は順序がある。それは、中央に向かって、左右から一方向にゆっくりかけていき、最後に角を整えるというものだ。

「角の部分はやすりで削れやすいため、最初に削ると深く削りすぎてしまうことがあります。そのため、まずは真ん中寄りから形を整え、最後に角を丸めましょう」
やすりの動かし方にもポイントがある。
「真ん中に向かって一方向に擦ることが大切です。ゴシゴシと左右に擦ると、縦方向に走っている爪の繊維が割れやすくなります」
買い替えのサイン
最後に、多くの人が見逃しがちなポイントだが、刃を研ぐことが構造上難しい爪切りは、刃物製品としての寿命がある。山田さんによれば、買い替えのサインは次のとおり。
・刃が滑って切りづらい
・切った後の爪が割れやすい・欠けやすい
・爪を切る瞬間に上刃が下刃より前に出て、カチカチと2回音がする
「使用頻度や保管方法などにより買い替え時期は変わるでしょうが、購入から3~4年程度で切れ味が落ちてくる場合が多い印象です。切れ味が落ちれば爪への負担も大きくなるため、買い替えていただくのがおすすめです」
週に1回程度しか使わない爪切りは、切れ味の劣化に気づきづらい。しかし、多くの人が新品の爪切りに買い替えると「切れ味が違う!」と驚くそうなので、使用年数が10年を超えているような人は買い替えを検討してもいいだろう。
取材・文=古澤誠一郎