先行きが見通せないイラン情勢の影響は、私たちを癒してくれる温泉にも及んでいます。重油不足の影響で臨時休業を決めた施設もあり、販売会社でも綱渡りのやりくりが続いています。
■「タンクがゼロに」重油不足で”臨時休業”に
愛知県新城市の「鳳来ゆ〜ゆ〜ありいな」は、湯谷温泉の源泉を引き、露天風呂なども備えた日帰り温泉ですが、営業時間にも関わらず施設内には客の姿がありません。

中村元彦支配人:
「重油がなくてボイラーがたけない。タンクの中がゼロになりました。4月3日にとうとう(業者から)『仕入れることができなくなりました』と返事をいただきました」
店頭には「重油が底をつきました」のお知らせが。7000km以上離れたイラン情勢の影響です。
ボイラーの稼働には、1日およそ800リットルの重油を使います。業者からの供給が止まった今月3日以降、営業時間を5時間短縮し、1日500リットルほどの消費でしのいできました。それでも重油は1週間ほどで底をつき、12日からは臨時休業を余儀なくされました。

休業中も、毎日、常連客から再開を待ちわびる電話が20件ほどかかって来て、何も知らずにやって来た人もいました。
浜松市から来た2人組:
「(通い始めて)30年くらいはなるよね」
「燃料がないというのは初めてだよね。残念ですけどね」
施設側も手をこまねいているわけではありません。
中村支配人:
「今は1600リットル入っています。施設内に400リットルの補助タンクがありまして。さらに仕入れ先の業者さんに4000リットルのタンクを借りて、保有している状態です」
供給が止まってすぐに複数の業者に問い合わせ、およそ6000リットルを確保しました。しかし、短縮営業とはいえ1日に500リットル消費すれば、単純計算で12日で使い切ってしまいます。
仕入れ値も1リットルあたり50円ほど高騰しているため、即座に営業再開とは踏み切れないのが現状です。
中村支配人:
「前回入れていただいた2社の業者さんが、今後も継続して納品できますよと言われた時にはじめて、何とか通常営業に戻せるかなという判断になると思っています。急に値上げはできないと思うんですよ」
■販売元でも先行きに不安「本当にギリギリ」
銭湯などに重油を販売している業者でも、苦しい声が上がっていました。
従業員:
「タンク自体が今、中に6キロくらいしかない。厳しいです。トランプさん、どうにかしてください」
愛知・岐阜を中心に重油などを販売・供給しているFusoエナジーでは、仕入れ価格が2月末と比べておよそ2倍に上がった中、量は半分ほどに減っていると言います。

Fusoエナジーの山本洋一社長:
「当社しか仕入れ先がない銭湯については、何とかギリギリの量を供給させていただいておりますけども、他で調達のめどがあるところについては、やむなく他での調達をお願いしています。価格の上昇を少し抑えたりとかゆっくり上げたりと、工夫しながらやっています」
愛知県では組合加盟の銭湯の料金は、大人で一律550円と定められています。
名古屋市内にある20件ほどの銭湯にも供給していましたが、値上げ分の折り合いがつかない場合には、調達先の変更や一時的な取引ストップをお願いしています。
Fusoエナジーの山本洋一社長:
「本当に不安で、綱渡りと言いましたけど本当にギリギリ。明日、少しの量を確保できることになったんですけど、あさって、しあさってに仕入れができるかと言われたら、今の段階では全く分からないです」
