新年度が幕を開けて間もない4月、仙台市の教育現場で、20代の教師によるSNSトラブルが発生した。自宅で安易に撮影・投稿された1枚の画像が、ネットの海で瞬く間に拡散され、閲覧数は300万回を突破。教育者としての資質のみならず、新社会人が陥りやすい情報リテラシーの欠如が浮き彫りとなっている。

アプリの通知に促された無自覚の投稿

女性教師はアプリの通知に促されパソコンの画面を撮影し、投稿してしまった(画像はイメージ)
女性教師はアプリの通知に促されパソコンの画面を撮影し、投稿してしまった(画像はイメージ)
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事態が起きたのは4月20日の午後9時ごろ。仙台市太白区の市立小学校に勤務する20代の女性教師は、自宅での作業中にスマートフォンへ届いた「投稿を促すアプリの通知」に応じる形で、目の前にあったパソコン画面を撮影した。そこには職員会議で使用する校内システムが表示されており、勤務先の学校名や同僚教師の実名がはっきりと映り込んでいた。

女性教師が画像を投稿してしまったSNSは、通知が来て2分以内に撮影・投稿をしないと、他の人たちの投稿が見られなくなるという仕組みになっている。加工やフィルターがなく、リアルな姿を共有するというユニークな仕組みがZ世代から人気を集めているが、今回はその仕組みがあだとなってしまった。

勤務先や同僚の実名が入った画面をそのまま投稿してしまった(画像はイメージ)
勤務先や同僚の実名が入った画面をそのまま投稿してしまった(画像はイメージ)

女性教諭は、写真共有アプリ内の「親しい人のみが見られるグループ」に向けて投稿したという。
本人は市教委の聞き取りに対し、「深く考えることなく投稿してしまった」と供述しているが、その代償はあまりに大きかった。

画像はグループ内の誰かによって外部へ転送・拡散され、翌21日午後にはSNS上での閲覧数が300万回を超える事態となった。

「限定公開」でも拡散 専門家は

事態を受けて仙台市は会見を開いた
事態を受けて仙台市は会見を開いた

今回の問題に対し、SNSトラブルに詳しい成蹊大学の高橋暁子特別客員教授は、教員としての自覚不足を厳しく指摘している。

成蹊大学 高橋暁子特別客員教授:
教員の場合は、児童生徒に関する個人情報も多く持つ。公務員法で、信頼されるような行動をとらなければいけないことも定められている。より一層注意を払う必要があった。

成蹊大学 高橋暁子特別客員教授
成蹊大学 高橋暁子特別客員教授

しかし、当事者の意識はそれらの公的な義務よりも、アプリの通知という日常的な衝動を優先してしまった。

特に注意が必要なのは、「友達限定なら安全」という油断である。

成蹊大学 高橋暁子特別客員教授:
「友達しか見ないから」「限定公開だから」と、油断して投稿してしまいがちだが、問題ある行動を見ると、それをおかしいと思って外部に転送したり、公開してしまう人が一定数いる。

一度インターネット上に流出した情報は完全に削除することが不可能であり、親密な関係の中であっても公私の境界線を維持することの難しさが改めて浮き彫りとなった。

新社会人に求められる守秘義務

専門家は学生時代のノリのままでSNSに投稿する危うさを指摘(画像はイメージ)
専門家は学生時代のノリのままでSNSに投稿する危うさを指摘(画像はイメージ)

4月は新入社員や新任教師が社会人としての第一歩を踏み出す時期だが、同時に不適切なSNS投稿によるトラブルが多発する時期でもある。
学生時代の「ノリ」のまま、業務上の機密情報を安易に可視化してしまう行為は、組織の信頼を根本から揺るがしかねない。

高橋暁子特別客員教授は、社会人には必ず「守秘義務」が伴うことを強調する。

成蹊大学 高橋暁子特別客員教授:
自分はもう安易にSNSに投稿していい立場ではなく、責任感もあり、世間の見る目が学生の時とは変わっているということをしっかり自覚して振る舞う必要がある。

自分自身が「責任のある立場」であるという事実を認識し、たとえ数人の友人向けであっても、職務上の風景を切り取るリスクを自覚しなければならない。

仙台放送
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