10月6日からウズベキスタン・タシケントで開幕する、2022世界柔道選手権。
激戦区90キロ級の代表となった増山香補(ましやまこうすけ、23)は、180cm/90kgの屈強な体躯から繰り出す、“超攻撃的”な柔道が魅力の選手だ。
しかし見かけによらない意外な特技を持っているという。
特技は料理!几帳面すぎる寮部屋に潜入
この記事の画像(11枚)日本のトップ選手だけが出場できる全日本選抜体重別選手権で、今年4月、連覇を達成した増山。
今年初めて世界選手権の個人代表の座を掴んだ、日本柔道界のホープだ。
そんな増山がオフに欠かせないのが、料理だ。
同じ寮に住む後輩にご飯を振る舞っているという情報をつかみ、様子を見に行くと、この日のメニューは、“鶏胸麹漬けのおから焼き”と副菜だという。
キッチンを覗くと、テプラが貼られた調味料が並べられていて、増山の几帳面さが伝わってくる。
「テープ貼っているとすごい言われましたね。みんな友達とか来たときに『こまめだな』みたいな」
さらにその几帳面さは料理中にも現れていた。
「色は気にします。パプリカは絶対入れてますね。オレンジとかないじゃないですか」
すると次は鶏胸肉を棒で叩き出す増山。
――どこで知ったんですか?
テレビで観ました!減量中は気にしていますね。油ものたべないとか。
栄養面や料理の色味まで気にするほどの細やかな気配りが、自らの、そして後輩たちの体作りを支えている。
手料理を食べる後輩は大喜びだ。
「美味しいですね!いつも待っているみたいな感じです。もうお母さんですね!」
超攻撃的柔道のカギは“背負い投げ”
キッチンでは几帳面で優しい姿を見せてくれた“増山”だが、一足畳へと踏み入れれば、攻めて攻めて攻めまくる“超攻撃的”な柔道家に変身する。
全日本男子の鈴木桂治監督も、その柔道スタイルを認めている。
「もうとにかく攻めまくる、超攻撃柔道を貫いて欲しいなと思います。外国人が諦めるぐらい。理想はそれですね」
その軸となるのが、“打点の高い”背負い投げだ。
一般的にはしゃがみながら相手を担ぎ上げるが、増山はしゃがむことなく立ちながら、相手を担ぎ、そのまま畳にたたきつける。
まるでバルセロナ五輪金メダリスト、“平成の三四郎“こと古賀稔彦(こがとしひこ)さんを彷彿とさせる豪快な背負い投げ。これこそが増山の生命線。
「あまり担げている感じがしないのでわからないですけど。でも変とは言われますね。めちゃ曲がっているというか。
信頼している技というか、きつくなったときに頼れる技というイメージです」
海外勢も実力者が揃うこの90キロ級という階級。
日本は、五輪・世界選手権を合わせても2016年のリオ五輪(ベイカー茉秋)以来、金メダルを獲得できていない。
6年ぶりに世界の頂点に輝けば、パリ五輪へ他の追随を許さない大きなアドバンテージとなる。
増山は「攻めて攻めて、世界選手権優勝して、パリオリンピックにつなげたいと思います」と強く意気込む。
切磋琢磨する同級生トリオ
今回代表に選出された81キロ級の藤原崇太郎、100キロ級の飯田健太郎とは同級生だ。
共に世界一を目指し切磋琢磨する仲間であり、ライバルでもある。
藤原と飯田は既に世界選手権出場を果たしており、増山は二人を必死に追いかけてきた。
「『あいつらが出来るなら出来る』って、同級生なんで」
同級生だからこそ、ライバルの誰よりも“世界王者”のタイトルを欲している。
「まだ誰もとってないタイトル。だからちょっとそこが競いたいというか、負けたくないですね」
初タイトルを渇望するハングリーな新星、増山香補。
6年ぶりの快挙へ、柔道とフライパンで鍛えたその腕で、世界の猛者を“料理”する。
2022世界柔道選手権
10/6開幕!
フジテレビ系列で8夜連続中継!
https://www.fujitv.co.jp/sports/judo/world/index.html