9日の会見で今後のビジョンについて明らかにした高市首相ですが、その1つ、「憲法改正」に強い意欲を示していました。
高市首相:
改正案を発議し少しでも早く憲法改正の賛否を問う国民投票が行われる環境をつくっていけるよう私も粘り強く取り組んでいく覚悟です。
「少しでも早く国民投票を行う環境をつくる」というコメントでしたが、高市首相は憲法をどう改正しようとしているのか、改正の議論は進むのか、フジテレビ政治部の三嶋唯久上席解説委員と見ていきます。
――なぜ高市首相は憲法改正にこだわるんでしょうか?
憲法改正は自民党結党以来の党是で、高市首相が尊敬する安倍元首相の悲願でもありました。
衆議院で結党以来の歴史的大勝をしたいま、安倍元首相の遺志を継いで憲法改正を実現させたいという高市首相の強い思いがあるのではないでしょうか。
高市首相は憲法をどのように改正しようとしているのか。
まず党の基本方針として、自民党は「自衛隊の明記」「緊急事態対応」そして「合区の解消・地方公共団体に関して」更に「教育の充実」の4つの項目を掲げています。
――特にどれに関して高市首相は意欲を見せているのでしょうか?
高市首相が一番やりたいのは「自衛隊の明記」、憲法9条に自衛隊を明記するということだと思います。
選挙戦の演説でも高市首相は、「憲法になぜ自衛隊を書いてはいけないのか」「自衛官の誇りを守る当たり前の憲法改正を」と強く訴えていました。
自衛隊の明記というのは、安倍元首相が2017年に打ち出した案ですので、これに特に強いこだわりがあるんじゃないでしょうか。
自衛隊の明記に関して詳しく見ていきますと、まず、現在の憲法では自衛隊に関する明記はありません。
そこで自民党としては、災害対応など「自衛隊の活動は多くの国民の支持を得ている」ので自衛隊は必要不可欠であるということ。
それから自衛隊を憲法に位置付けて、自衛の措置いわゆる自衛権に関しても「言及すべきだ」としています。
ただ一方で、憲法9条の中では「武力の行使禁止」それから「交戦権の否認」「戦力不保持」ということで、陸海空軍、その他の戦力を保持しないとしているため、自衛隊の明記が憲法に反しているのではという指摘もあります。
例えば、共産党の田村委員長は「9条改憲をはじめ戦争国家づくりを進める点で、戦後かつてない危険な状況が生まれている」と明確に反対をしています。
他にも、自衛隊による「海外での武力行使につながる恐れがある」と話している人もいます。
自民党は自衛隊に対して合憲、共産党など複数の野党は戦力だから違憲だとしています。
――反対意見もありますが高市首相はどのように進めていくつもりでしょうか?
昭和の時代には「自衛隊は憲法違反だ」という訴訟を起こされたこともありましたが、自衛隊はその後、震災などの災害支援で活躍して国民の自衛隊に対する理解が深まっているということで、高市首相としてはいまの憲法9条はそのまま変えず、新たに自衛隊について明記する、ということを丁寧に説明するのではないでしょうか。
そして、4項目の中で日本維新の会と連立合意に含まれているのが「自衛隊の明記」と「緊急事態対応」で、これも今後の課題になっていくと思います。
「緊急事態対応」を詳しく見ていきたいと思います。
例えば、大規模災害や武力攻撃、感染症によるパンデミック(世界的大流行)という緊急事態が起きた時、国会や内閣の緊急事態への対応を強化するもの。
緊急事態の際に「国会の機能をできるだけ維持」することや、それが難しい場合、「内閣の権限を一時的に強化し、迅速に対応できる仕組みを憲法に規定する」ということで、権力を中央に集結させ、迅速に対応しようとするものです。
これに関して、日本弁護士連合会は「極度の権力集中によって政府の権力乱用の危険性が高く、民主主義の根幹をなす人権が大幅に制限される可能性がある」などとして反対の立場をとっています。
――この緊急事態対応に対して、国会でもすでに議論になっているということでしょうか?
国会の憲法審査会で、まだ自由討議という形ですが、その中で自民党は「憲法に緊急事態条項を盛り込むべきだ」と主張しています。
ただ議論はまだ煮詰まっていません。
SPキャスター・山口真由さん:
(Q.この状況をどうみますか?)高市さんがおっしゃった国論を二分する政策の中には、実益があるものもあれば象徴的なものもり、憲法改正は象徴的な部分だと思います。これは参政党などに流れた保守層を引っぺがすためのリップサービスだと思っていたんですが、選挙後に強く出しています。この国際情勢で、確かに議論は必要でしょうが、優先度を上げて政治的エネルギーを割くところなのか、高市さんの本気度は今後見極めたいと思います。
――今後の議論はどうでしょうか?
衆議院で3分の2をとっていますが、まだ参議院では3分の2ないので、本当に与野党と丁寧な議論をして合意形成が必要だと思います。
何が賛成、何が反対、何が議論になっているのか、我々も開かれた議論をしっかりと見届けなければいけません。