10月6日からウズベキスタン・タシケントで開幕する、2022世界柔道選手権。

この舞台に並々ならぬ思いで出場する選手が最重量級、女子78キロ超級に出場する冨田若春(とみたわかば・25)だ。

今は亡き恩師を「世界一」にしたいと考えている。

無双状態で勢い止まらぬ25歳

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2022年に入って、冨田の勢いには鬼気迫るものがある。

日本の上位8選手のみが出場することが許される全日本選抜体重別78kg超級を連覇。さらに女子最強選手を決める無差別級トーナメント・皇后盃も2年ぶりに優勝と、国内ではまさに無双状態。

パリ五輪代表候補に名乗りを上げた。

しかしオリンピックの代表レースには強力なライバルが二人いる。

オリンピック金メダリストの素根輝(22)と、ジュニア時代から戦い続けてきた去年の世界選手権金メダリスト・朝比奈沙羅(25歳)だ。

2人の金メダリストと肩を並べるためには何としても欲しい「世界女王」のタイトル。

「2年後にはもうパリが始まっているので、優勝しなきゃいけないなって思っています」

そう意気込む冨田。

しかし2022年4月、皇后盃で優勝を決めた翌日、悲しい知らせが入る。

埼玉栄高校時代の恩師、本松好正さん(66歳)が逝去したのである。

冨田を襲った突然の訃報

2年ぶりの皇后盃優勝を決めた直後、冨田はいつものように本松さんに喜びの報告をしようと連絡したという。

「その日のうちに連絡したんですけど電話出なかったのかなあ。翌朝も連絡したんですけど出なくて」

絶好調の冨田だったが、心と身体のバランスが崩れてしまったという。

「人生で1番落ち込みましたね。トレーニングもできないぐらい落ち込んじゃいましたね。
最後にLINEしたときに、『先生の自慢の教え子だ』みたいな、『ありがとな』みたいな感じで連絡が来ていて、それがもうずっと忘れられないですね」

本松好正さんは埼玉栄高柔道部の監督として、金鷲旗高校柔道大会の女子で4度優勝、さらには男子でも準優勝を果たした、高校柔道界きっての名将だ。

2014年には当時高校2年生の冨田を大将に据え、自身最後の優勝を果たしている。

そんな恩師を冨田も心から信頼し、卒業後も連絡を取り続けていた。

「試合が終わった後、毎回報告はしていて、そのたびに負けても怒らず、『次絶対勝てるから頑張れ』という言葉をもらっていました。
何があっても信じて、信じて『お前なら絶対やれる』と、選手思いの先生だったというのが好きでした」

「勝ちたいという気持ちを教えてくれた」

どんなときでも味方で居てくれた恩師の教えは、今も冨田若春の柔道を支えている。

恩師の墓参りで手を合わせる冨田
恩師の墓参りで手を合わせる冨田

「柔道を詳しく研究して『こうだ』と教わることはなかったんですけど、勝ち方を教えてくれたというか。
自分のために頑張るんじゃなくて、応援してくれている人とか、大事な人のために頑張るとか、勝ちたいという気持ちを教えてくれた先生でしたね」

悲しみを乗り越えた冨田は、7月にブダペストで行われたグランドスラムで、五輪4大会連続メダリストのオルティス(キューバ)を破り、優勝。

そして10月、強い思いを胸に世界選手権の畳に上がる。

「先生の教え子で世界チャンピオンになっている人はいないので、私が世界チャンピオンになって『世界一の先生』にさせてあげたいなと思っています」

2022世界柔道選手権
10/6開幕!
フジテレビ系列で8夜連続中継!
https://www.fujitv.co.jp/sports/judo/world/index.html