11月1日に開幕する春の高校バレー岩手県大会の注目校・花巻南高校(女子)。「“さやさん”を全国に連れていく!」を合言葉に、大好きな先輩への思いを力に変えて夢舞台(ゆめぶたい)を目指す。

手作り横断幕でチーム一丸に

女子の第3シード・花巻南高校は、春高では4年連続でベスト4以上に入っている強豪で、2024年5月の県高総体では準優勝している。部員は25人と県内屈指の大所帯だが、3年生は1人だけだ。

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“さやさん”の愛称で後輩たちに慕われているキャプテンの藤舘咲耶選手(3年)。サウスポーから繰り出すスパイクは緩急自在で高い得点力を誇る。

1年生のときからレギュラーとしてコートに立ち、喜びも悔しさも味わってきた藤舘選手は「3年目で、今までは3位止まりだったから、そこの壁を乗り越えて、決勝の舞台で花巻南という高校を全国に連れていきたい」と意気込みを語った。

体育館には、心を震わすメッセージが掲げられている。手作りの「さやさんを全国に連れていく!」という横断幕だ。

後輩が手作りした横断幕
後輩が手作りした横断幕

この横断幕について、藤舘選手は「私が知らないうちに後輩が作っていて、体育館で見て最初びっくりした」といい、恥ずかしさもあったそうだが、手作りの横断幕が体育館にあることで「後輩のために勝ちたい」「後輩と一緒に全国行く」といった気持ちがさらに強くなったという。

先輩思いの“Wエース”

“さやさんと全国へ”。その思いを特に強くプレーで表現するのが、Wエースとも言える2人の2年生だ。

ミドルブロッカーの伊藤隣選手(2年)は多彩な攻撃が持ち味で、ネットから離れた位置から打つバックアタックや、連続得点を呼び込む強力なジャンプサーブも得意としている。

伊藤選手は「さやさんは常にチームのことを考えていて、一人一人に寄り添ってくれてチームに欠かせない存在。うまくいかなかったときに駆け寄って、声を掛けて笑顔にしてくれる」と話す。

もう1人は、アウトサイドヒッターの山本愛莉選手(2年)。中学では、2年生のときから県選抜チームに選ばれた大舞台に強いアタッカーで、スパイクは高い決定率を誇る。

山本選手も「さやさんは同級生がいない分、1人でつらい思いや苦しい思いもたくさんしてきたと思う。私たち後輩には常に笑顔で、キャプテンとしてチームを引っ張ってくれた」と藤舘選手への思いを語った。

「優勝という形で恩返しができたら」

花巻南高校のバレー部は、公立高校としては珍しく毎年、地元以外の選手が多く所属している。現在は、選手の7割が花巻市以外から通学しているという。

藤舘選手は「この学校に入っていなければ、先生や後輩たち、先輩たちと出会っていない。(学年では)1人だけど、この学校に入って良かったと思っている。優勝という形で恩返しができたらいいと思っている」と意気込んだ。

花巻南高校バレーボール部(女子)
花巻南高校バレーボール部(女子)

後輩たちは尊敬する先輩のために、先輩は大好きな後輩たちのために。
学年を超えた強い絆を力に変え、疾風怒濤の南風を吹かせ、25年ぶり2回目の優勝を目指す。

(岩手めんこいテレビ)

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