“野菜ソムリエ上級プロ”で“果物ソムリエ”の堀基子さんが、旬の野菜と果物のおいしさを引き出す技を紹介する本連載。今回は、花粉症対策に注目される柑橘類「じゃばら」です。
文=堀基子
絶滅の危機に瀕した「幻の果実」
花粉症の人にとって春は受難の季節。その対策の一つとして注目されているのが「じゃばら」です。
「じゃばら」はミカン科に属する柑橘類で、和歌山県北山村だけに自生する貴重な柑橘類であることから、「幻の果実」と呼ばれ、珍重されてきました。江戸時代からこの地にあった、ゆず、九年母(くねんぼ)、紀州みかんなどが自然交雑して生まれました。
温州みかん程度の大きさをしており、熟すとともに果皮が緑色から黄色へ変わります。その強烈な酸味が邪気を払うとされ、「じゃばら」という名が付けられたのだとか。一時は1本だけになってしまった「じゃばら」の木を、およそ30年かけて増やし、現在は約8000本になったのだそうです。
この「じゃばら」は近年、花粉症への効果が期待され、のど飴などが人気を集めています。「じゃばら」の苦味の成分でもあるポリフェノールの一種ナリルチンは、アレルギー症状を抑制する効果を持つとされます。臨床試験の結果でも、鼻水、くしゃみ、鼻づまり、鼻のかゆみ、目のかゆみ、涙目などの症状が軽減・改善したという方が多く、今後のさらなる研究が望まれています。
このナリルチンは、かぼす、すだち、ゆずなどの柑橘類にも含まれていますが、「じゃばら」はダントツの含有量で、1個当たり1000mg近くを含んでいます。
果汁で作る「ポン酢」
すだち、かぼす、ゆずなどと同じ香酸柑橘の仲間の「じゃばら」は、温州みかんのようにそのまま食べるのではなく、果汁を絞って料理などに使います。地元ではお正月料理に欠かせない存在だといいます。
