この分野に関わる産業として、ヘルスケア、ウェルネス、コミュニティケア、幼児教育、一般教育、成人教育を挙げています。
シンガポールは日本と同様、急速な高齢化が進んでおり、2030年には国民の4人に1人が65歳以上になる予測が出ています。それを前提に早いタイミングから対策を立てているのです。
今後、少子高齢化が進む日本では、特に介護分野のスキルを持つ人の育成が今まで以上に重要になっていきます。
リクルートワークス研究所が2023年に発表したレポート「未来予測2040 労働供給制約社会がやってくる」において、業界ごとの労働需給ギャップの予測を出していますが、介護サービスは特に需給ギャップが大きい分野です。
2030年の需要が199万人、供給が178.1万人、2040年の需要が229.7万人、供給が171.7万人と予測され、さらに需給ギャップが拡大するというのです。
生成AIなどの影響でホワイトカラー職の激減が予測されていますが、この大きな需給ギャップを解消するべく、介護分野の生産性向上のためのデジタル導入に加え、ホワイトカラー分野からの労働移動を推し進める施策なども増えてくるのではないかと考えています。

後藤宗明
1971年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。富士銀行(現・みずほ銀行)を経て、米国で起業。帰国後、米国のフィンテック企業の日本法人代表などを務めたのち、2021年に一般社団法人ジャパン・リスキリング・イニシアチブを設立し、代表理事に就任。現在は、リスキリングプラットフォームを提供する米国企業「SkyHive Technologies」の日本代表も務める。