定年まで今の会社に勤められるのか。どの年代のビジネスパーソンも、そんな悩みを抱えているかもしれない。

一般社団法人ジャパン・リスキリング・イニシアチブの後藤宗明さんの著書『中高年リスキリング これからも必要とされる働き方を手に入れる』(朝日新聞出版)は、これから必要とされる働き方を手に入れるためのアクションの起こし方を解説している。

将来の選択肢を増やして長く働き続けるためには「リスキリング」が重要だが、「新しいスキルを再習得」させるだけでなく、特に中高年の場合は、これまで習得してきた知識や成功体験などを一度リセットすることが求められる。

では、どのようにリセット、「アンラーニング」すれば良いのか。一部抜粋・再編集して紹介する。

準備としての「アンラーニング」

中高年がリスキリングで新たなスキルを身につけようとする際に、ぜひ取り組んでいただきたいのが、アンラーニングです。

アンラーニングとは、以前習得した情報、知識、成功体験等で陳腐化しているものをリセットし、新たに受け入れる態勢を意識的に作り出すことを指します。「学習棄却」という和訳で説明されることもあります。

リスキリングを始める前の準備段階として、アンラーニングはとても重要です。新しいスキルを身につけるための素地を事前に作っておくプロセスと言い換えてもよいかもしれません。

リスキリング前にアンラーニングすることも重要(画像:イメージ)
リスキリング前にアンラーニングすることも重要(画像:イメージ)
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欧米でベストセラーとなったバリー・オライリー氏の著書『アンラーン戦略』(ダイヤモンド社)では、アンラーニングのプロセスとして、

・Unlearn(脱学習=過去には役立ったが、今や成功の障害になっている考え方や、身につけた行動様式を手放し、見直すこと)
・Relearn(再学習=新しい行動を試し、新しいデータや情報や視点を取り込む実験プロセス)
・Breakthrough(ブレークスルー=脱学習と再学習のステップを経たことで得られる新しい情報や洞察)

というサイクルを回すことが重要だと述べています。

そして、このアンラーニングをする際に最も難しく感じられるのが、おそらく、「身につけた行動様式を手放し、見直す」の部分だろうと思われます。

自身の立ち振る舞い、発言に注意を

例えば、人生100年時代、日本でも、これから多くの方々が人生の後半のキャリア(セカンドキャリア)において、年功序列とは関係のない働き方をしなくてはいけなくなると考えられます。

その際に大きなハードルになるのが、年齢の上下に起因する立ち振る舞い、発言です。

これは、無意識に染みついてしまっているために多くの中高年の方々が気づいていないことです。