熊本地震で被災し、一部区間で運休が続く南阿蘇鉄道は、7月15日に全線で運転を再開する。全線開通まであと1カ月に迫る中、長陽駅のホームでシンガーソングライター、片平里菜さんによる「復興ライブ」が開かれた。

列車が来ない駅だから出来るライブを

梅雨の晴れ間となった6月11日、日曜日の昼下がり。南阿蘇鉄道の長陽駅のホームに福島県出身のシンガーソングライター・片平里菜さんの柔らかな歌声が響いた。

シンガーソングライター・片平里菜さん
シンガーソングライター・片平里菜さん
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片平里菜さんは2016年の熊本地震以降、南阿蘇村をたびたび訪れ、ボランティア活動などを通して住民と交流してきた。

長陽駅管理人・久永操さん
長陽駅管理人・久永操さん

イベントを企画したのは、長陽駅のカフェのオーナーで駅の管理人も務める久永操さんだ。

運休中の長陽駅
運休中の長陽駅

南阿蘇鉄道は、現在も中松駅と立野駅間で運休が続いていて、長陽駅はその運休区間にある。「列車が来ない駅だからできるぜいたくなライブを」と地元の有志に声をかけて実現した。

地元有志に声をかけ実現したライブ
地元有志に声をかけ実現したライブ

長陽駅管理人・久永操さん:
このホームが使えるのが最後だったので、このタイミングで(片平)里菜さんが「ホームでライブができたらいいね」と言っていただいたので、それが実現できてよかった

新型車両がサプライズで登場

田植えが終わり、南郷谷は初夏の風景の中、真新しい新型車両が試験運転を重ねていて、JR豊肥線・肥後大津駅への直通乗り入れの訓練も行われている。

ライブ中に試運転列車が登場
ライブ中に試運転列車が登場

ライブの終盤には長陽駅のホームに、来ないはずの列車が姿を現すサプライズもあった。7月の全線再開を控え、試運転が行われていたのだ。

“復興の象徴”と喜び語る
“復興の象徴”と喜び語る

シンガーソングライター・片平里菜さん:
全線開通おめでとうございます。「復興」と一概に言えないと思うが、(全線開通するとか)無かったものが整うっていうのは復興の象徴かなと思う。とにかく「おめでとう」の気持ち。これからも一緒に生きていきたい

観客A:
地元じゃないのに他の県までわざわざ足を運んで、歌を歌って、歌で人に力を与えているのがめっちゃかっこいいなって思う

観客B:
声にとても感動した。風景と列車ともすごく合っていた

観客C:
晴れやかな声で、伸びがあってよかった

全線開通も間近 列車が走る日常へ

南阿蘇鉄道運転士・内川聖司さん:
あとひと月で開通するのを盛り上げてもらえてよかった。新しい列車が来て、お客さんにも(開通が)間近に迫っていることをわかってもらえた

長陽駅管理人・久永操さん:
ものすごく楽しかった。皆さんの笑顔が広がって、拍手がつながって、輪がつながっていく感じがとても幸せだった。(全線開通が)楽しみで仕方がないが、まだ南阿蘇鉄道はお客さんが少なかったり、いろいろ課題もあるが、またここでみんなの絆がひとつ大きくつながって、一緒に協力していけると確信した

全線開通の期待感に包まれた長陽駅での復興ライブ。間もなく「列車が走る日常」が戻ってくる。

(テレビ熊本)

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