7月15日に全線開通した南阿蘇鉄道、その復活に人気の紅茶ブランドが一役買っている。「午後の紅茶」を手がけるキリンビバレッジが、熊本のイチゴを使った新商品を6月に発売した。その新商品に込められた熊本地震からの復興への思いを取材した。

“ゆうべに”使った「午後の紅茶」

「午後ティー」の愛称で親しまれているキリン「午後の紅茶」。

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6月には、このブランドから新商品が全国発売された。

「キリン 午後の紅茶 for HAPPINESS 熊本県産いちごティー」で、原料の一部に熊本県産のイチゴ“ゆうべに”と茶葉を使用した数量限定商品だ。

キリンビバレッジ西日本統括本部・営業企画部の白石萌さんは、“ゆうべに”の特徴について「酸味と甘さ、甘酸っぱさのバランスがいい」と話し、「キリンの紅茶と合わせたときに商品としてスッキリお飲みいただけるような味覚の設計になった」と、“ゆうべに”が原料に採用された秘話を明かしてくれた。

熊本県オリジナルの品種が全国区に

“ゆうべに”は熊本県オリジナルの品種で、2015年に誕生した。

JA熊本経済連調べでは、熊本県内431戸の農家で生産されていて、2022年度は約3800トンを全国に向けて出荷している。

JAたまな・横島イチゴ部会の松本輝紀部会長は、「“ゆうべに”という名前が全国の方に知られたことが、一番のいいことだ」と新商品について喜び、キリンのこれまでの熊本地震からの復興支援についても「南阿蘇鉄道を生活の一つとして利用されていた方々にとっては、大変いいことじゃなかったかなと思います。これが熊本の観光にもつながっていけばいいなと思います」と話した。

被災した南阿蘇鉄道の復興 応援し続け

熊本地震発生後、売り上げの一部を寄付し、熊本地震で被災した南阿蘇鉄道を舞台にしたCM撮影を行うなど復興の応援を続けてきたキリンビバレッジ。

今回の商品は「感謝、サンキュー」の意味を込めて、1本当たり3.9円が地震復興の財源として熊本県内へ寄付される。

7月15日、南阿蘇鉄道が実に7年と3カ月ぶりに全線開通となった日。立野駅には、午後の紅茶・熊本県産いちごティーを味わってもらおうとキリンビバレッジの社員たちが駆け付け、サンプリングを行った。

「応援したい」気持ちつなぐ商品

キリンビバレッジ西日本統括本部・営業企画部 白石萌さん:
熊本県の皆さんの前に進む気持ちと、全国の皆さんの「応援したい」という気持ちをつなぐ商品になっているのかなというところで、そういった商品を販売できることをうれしく思います

これまで熊本県産いちごティーの売り上げから復興関連で寄付された額は、8762万円余りに上る。

上品な甘酸っぱさに仕上がったフルーツティーと、そこに込められた復興への思い。熊本に寄り添い、共に歩みを進める企業の姿がそこにあった。

(テレビ熊本)

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