難しさや実際のトラブル事例も…

外国人労働者と働く上で、言葉や文化の違いによる課題を挙げる企業が多くあった。

特に、建設業界では命に関わる仕事もあることから、安全面での懸念が大きいという。

【主な回答】
・安全に関する指示が曖昧な日本語や専門用語でなされたため、外国人作業員が内容を誤解した事があった
・一瞬の油断や手順・操作の間違いが命の危険に直結する。普段から大きな声や威圧的な指示などが横行すると、「いざ」と言うときに間違ったニュアンスを与え危険を回避することができなくなることなどを危惧している
・建設業の専門用語が多く一般の日本語教育では学んでいない用語が多い
・重層的な下請け構造となっており、外国人労働者に対する直接的な教育が難しい
・当社外国籍社員(現場監督)が業者の職長と担当業務の打合せをする際、日本語でのコミュニケーションがうまくできず、職長が呆れて別の当社日本人社員と打合せしてしまい、外国籍社員が打合せに参加できない状況となった。以降、慣れるまで間に当社日本人社員が入って打合せを行っていた

外国人労働者を受け入れる上での対策

多くの会社が、「調達方針」や「人権方針」などで、外国人労働者についても人権を尊重すると掲げている。

具体的な取り組みは会社ごとで異なるが、ゼネコン側で外国人を雇用して委託先の会社の外国人のケアをするなど、現場の外国人労働者に寄り添おうと積極的な会社もあった。

【主な回答】
・外国人技能実習生・特定技能者に対して、オンラインの日本語講座を紹介
・「日本語の能力別対面型教育」や「自習用WEBコンテンツ」を無償で提供
・作業所内に各国語対応の啓発ポスターを掲示
・国籍別に文化や習慣に関する留意点を記載したメモを社員に展開し、当社社員(日本人)が先ず外国人材への理解と協働の意識を示すよう促している
・当社で日本語や日本文化にも通じている人材(ベトナム人やインドネシア人、ネパール人)を雇用し、協力会社の外国人材の就労や生活におけるケアに当たらせている。「日本におけるお兄さん、お姉さん」的な寄り添い方をしている

ベトナム人労働者の支援をしている「日越ともいき支援会」の吉水慈豊代表は、建設現場では、多くの下請け企業が入ることを挙げ、「外国人の受け入れをしたことのない人も含めて多くの人が一緒に仕事するので、元請け側のフォローが重要」と指摘。

「事前に(外国人労働者についての)勉強会をしたり、通訳を入れて言語支援をしたりするなど、対策をすることがトラブルを減らすことに繋がるだろう」と強調した。
(社会部・野﨑智也)

野﨑 智也
野﨑 智也

フジテレビ報道局、司法クラブ記者。
埼玉県出身。2015年全国紙に入社。札幌、鹿児島、大阪に赴任し、事件や事故、行政などを担当してきました。
在阪テレビ局への出向を経て、2025年にフジテレビへ転職し現職。
障害者福祉やジェンダーなど、人権に関わる問題に特に関心を持って取材をしています。
プライベートでは幼い娘の子育て中で、仕事と家事育児の両立も課題です。