若いときの転職ではあまり気にならない「退職金」。しかし40代になってくると、定年もちらつきはじめ退職金が惜しくなってしまい、キャリアチェンジしにくくなる。
こうした思考について、SNSで「転職とキャリア」をテーマに発信する安斎響市さんは、「退職金という幻のために、あと20年働くのか?」と投げかける。
著書『40代からの転職と副業』(育鵬社)から一部抜粋・再編集して紹介する。
定年まで何が起きるかわからない
転職を検討する際、「今まで積み立ててきた退職金が満額出なくなるのは嫌だから」と考える人もいます。
そして、その思考は、45歳、50歳、55歳と定年に近づけば近づくほど強まっていきます。「退職金の惜しさ」も年齢と共にさらに高まっていくのです。
40代の今が、あなたにとっては今後の人生の中で「一番若いとき」です。現時点で「退職金」や「年齢」を理由に転職を見送ってしまうと、40代後半や50代になるとますます転職のチャンスはつかみづらくなってしまいます。
しかし、その状態で、もし会社が倒産したら……?
大規模なリストラを断行する運びになったとしたら……?
所属する職場で何があったとしても、もう、会社にしがみつくしかありません。地方の子会社に出向しろと言われたら、黙って従うしかありません。業績が悪いから給料を大幅に減らすと言われても、何一つ逆らうことはできません。
定年までいることは現実的な生き方?
そういう弱い立場で、会社に「生殺与奪の権」を与えたまま、定年退職までの残りの十数年〜下手したら20年ほどの期間を過ごすのでしょうか?
それが本当に、転職よりも現実的な生き方だと言えるのか、もう一度よく考えてみましょう。
そもそも、退職金は、本当にもらえるのでしょうか?
