読書をするのは「よいもの」だということはわかっているが、それがなぜ「よいもの」なのか意外と知られていない。
読書がもたらすプラスの効果やエビデンスにもとづいた読書法を紹介する、教育心理学で認知科学者・猪原敬介さんの著書『科学的根拠(エビデンス)が教える 子どもの「すごい読書」』(日経BP)。
本書から、なぜ読書が他者の気持ちを知ることにつながるのかを、一部抜粋・再編集して紹介する。
誰かと関わるなら共感力は欠かせない
「共感」とは「相手の感情や経験に寄り添う」ことを意味する言葉です。誰かと信頼関係を築き、友人となったり、一緒に仕事をしたりするためには、ある程度の共感力は欠かせません。
相手の感情や、これまでどういった経験をしてきた人なのか、という部分をまったく無視してしまっては、うまくやっていけるはずがありませんから。
そういった意味で、共感は対人コミュニケーションの基礎といえるでしょう。
高知工科大学の日道俊之さんら(※1)が日本語版を作成した共感性を測定するための質問紙では、例えば、
・「自分は思いやりの気持ちが強い人だと思う」
・「友達のことをよく知ろうとして、その人からどのように物事が見えているか想像する」
といった項目に、「まったく当てはまらない」から「非常によく当てはまる」のいずれかで回答します。
こうした質問紙は「ああ、共感性の高さを測っているなぁ」と納得しやすいですね。
しかしこれは「あなたは共感性が高い人ですか?」と直接聞いていることに近く、実際にその人がうまく共感できる人かどうかはわからないわけです。
そこで心理学の研究では、正解/不正解のある「テスト」がよく用いられます。中でもよく用いられるのが「目から心を読む」テスト(※2・3)です。
「目から心を読む」テストは、人の顔の目元部分だけをくりぬいたモノクロ画像を見て、その人の感情を「いらいらした」「嫌みな」「不安な」「友好的な」といった4つの選択肢から選んで当てるテストです。
