師走に入り寒さが本格化。各家庭で暖房器具が本格稼働する中、家電量販店では、『エアコンの2027年問題』が話題となっている。現在5~6万円で売っている手頃なエアコンが市場から消え、販売される機種は、軒並み価格が上がると言われているのだ。その理由とは?
省エネ基準改正“消える”エアコンも
寒波の影響で、2025年1番の寒さとなったこの日。福岡市内の家電量販店では、「寒くなったから」とエアコンの買い替えに訪れていた客の姿がみられた。

最も気になるのは、やはり価格。店頭には、省エネかつ、様々な機能がついたエアコンが、税込み7万円台で販売されていた。

こうした手頃な価格のエアコンが、今後、『2027年問題』で店頭からなくなるという。「省エネ基準を満たしていないエアコンは、実質的に販売を停止される。

4~5割ほどの機種は、『無くなってしまうのでは』と言われています」と『ヨドバシカメラ博多店』の徳丸大一さんは話す。

『エアコン2027年問題』とは、冷暖房が家庭のエネルギー消費量の約3割と大きな割合を占めていることから、経済産業省が2027年度を目標に、今よりも厳しい省エネ基準を設けたために起こる問題だ。

古いエアコンは、引き続き使用できるが、メーカーは、省エネ率100%以上、現行のエアコンより最大で34.7%の性能改善を求められることになる。
その結果、基準を満たすのが難しい低価格帯のエアコンが、手に入らなくなる上、全体的に価格は高くなり、店頭に並ぶ種類も減る見込みだ。

新たな基準で約9万円高くなる機種も
『ヨドバシカメラ博多店』の徳丸さんは、店頭のエアコンを示しながら「表示がオレンジ色、省エネ基準が87%前後のものになるので、2027年度以降は販売されない機種になる。一般的には10万円以下のモデルは、もしかすると見られなくなるのでは…」と説明する。

例えば、似た機能を持つ同じメーカーのエアコンでも、省エネ率74%の現行モデルは、22万9000円だが、新たな省エネ基準を満たすものでは9万円近く高くなってしまうのだ。
購入を考える際、製品カタログや店頭のプライスカードに表示されている『統一省エネラベル』で、2027年度の新基準をクリアしているかどうか簡単に見分けられる。『緑色の円形マーク』は、「目標年度2027」と書かれ「達成」と表示されている。一方、『オレンジ色の円形マーク』は、「目標年度2010」など、古い年号が記された旧基準の製品で、2027年度以降は製造・販売されなくなる。2027年度以降、このオレンジ色のマークが付いた製品は、市場から完全に姿を消すことになるのだ。
どうせ買い替えるなら…
こうした中、家電業界では、今後、現行モデルのエアコンの駆け込み需要が増えるのではとみている。「小さい部屋用のエアコンが、一番影響を受けるのではないか。1人暮らしや寝室など、あまり使わない部屋には、現状出ているスタンダードなものを検討してもらうのが、一番お得」と徳丸さんは話す。

2027年度の改正は、“省エネ性の向上”が目的のため、本体価格は値上がりする可能性が高いが、目標値まで省エネできた場合、電気代は安くなる。

現行モデルの安いエアコンか?電気代を節約できる省エネの新基準を満たすエアコンに先行投資か?自分の生活スタイルに合ったエアコンを選ぶなら、今が買い時かもしれない。
(テレビ西日本)
