プロ野球に偉大な足跡を残した選手たちの功績、伝説を徳光和夫が引き出す『プロ野球レジェン堂』。記憶に残る名勝負や知られざる裏話、ライバル関係など、「最強のスポーツコンテンツ」だった“あの頃のプロ野球”のレジェンドたちに迫る!

王貞治さんの「868号バット」を寄贈するため、スタジオを飛び出し野球殿堂博物館へ。
パート1では、野球ファン必見の貴重なお宝の数々を堪能した一行。
パート2は、ついに歴史的な“レジェンド”たちが並ぶ“聖地”野球殿堂へ。

王貞治さんの肖像が見守る中、徳光家に眠っていた“お宝”が野球殿堂博物館の展示に加わる。
「徳光家の“王バット”殿堂入りスペシャル」パート2(前・中・後編)

【中編からの続き】

実は“ミスター”に憧れていた?野村克也氏

遠藤玲子(フジテレビアナウンサー):
ノム(野村克也)さん。

江本孟紀:
この写真は何か。

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徳光和夫:
そうですね。でも野村さんこういう口しますよね。

江本:
します、します。

徳光:
ね、こういう唇の格好。

江本:
パコパコパコパコするんですよ。
もう伝説は、一升瓶に砂詰めて、宿舎でいっつもこうやって手首、「野球は手首だ」っつって。肩は良かったけど、手首で送球してましたもんね。

遠藤:
へえ。

徳光:
そうですか。

江本:
で、打つのもこうやって。長嶋さんが、結構好きなんですよね、この人、本当は。ほんでこう、長嶋さんのまね、よくこうやってしてました。

徳光:
ちょっとバット短く持ってましたよね。

江本:
はい。長嶋さんの相当影響受けてんですよ。

遠藤:
好きだったんですね。

江本:
好き、大好きなんですよ。憧れ、いや、好きというよりね、憧れなんですよ。

長嶋さんに憧れていたという野村さん。両監督のもとでプレーした広澤克実さんも2人の関係について語ってくれた。

2025年3月4日放送
広澤克実:

マスコミを使って、「長嶋だから明日から楽だ」とかって、長嶋さんをばかにするコメントはどんどん出したんですよ。

徳光:
言ってましたね。

広澤:
結構出したんで、皆さんちょっと勘違いしちゃってることもあるんだと思うんです。でも、長嶋さんは好きなんですよ。すごくその姿勢を言っていましたね。「長嶋はどんなときでもファンのために全力を尽くす」と、ファンのために。

徳光:
広澤さんでなければわからない話だったけどね。野村さんと。

広澤:
でもジャイアンツに行ったら、やっぱり長島さんも、ヤクルト戦になるとちょっといつもの“ミスター”じゃないんですね。長嶋さんも実は野村さんを僕は思いましたけどもすごく意識してたんだなと思う。

遠藤:
あら、権藤(博)さんはまた、お若い時の権藤さん。

徳光:
権藤さん、若いなこれは。

2025年5月6日放送
徳光:

堀本(律雄)さんの名言が出るじゃないですか、「権藤、権藤、雨、権藤」と。肩の疲労とかそういうのはなかったんですか?当時。

権藤:
肩はたまにありましたけど、やっぱりヒジが張ってるとかなんかっていうとね、「何?ヒジが痛い?肩が痛い?」、「たるんどる」って。「命まで取られやせん!」って言って、監督が言って。

徳光:
考えられない。

権藤:
あのころの監督はね、戦争行って、弾をかいくぐってきてるんですよ。

徳光:
なるほど。

遠藤:
ああ、田淵(幸一)さん。打ったあとのこう、ちょっと喜んでる時の田淵さんですかね。

2024年6月11日放送
田淵幸一:

ホームランを打つと、お客さんが喜ぶじゃないですか。

徳光:
そうですね。そういうことはいつ実感したんですか?

田淵:
やっぱり2〜3年してからですね。

徳光:
ホームラン量産するようになってから。

田淵:
王さんと戦いだしてから。

徳光:
王さんと戦えるようになったなっていう感じはしたんですか?

田淵:
3年、4年目ね。37本打ってから。

徳光:
ああそうなんですか。37本。じりじりと近づいていって、そこから越えるわけですよね、75年に。

田淵:
そうです。

徳光:
でもやっぱり王貞治をひとつの目標にして…。

田淵:
なんでホームランが増えたかというと、王さんのおかげなんですよ。足上げるようになった。私大学生時代。

徳光:
田淵さん、すり足もしてないんだ。

田淵:
全然やってないですよ。で、王さんが、なんでこの人足を上げるのかなと思って、練習でキャンプでまねしたら飛ぶようになったんですよ。

徳光:
ボールの?

田淵:
「いただき」って。よし、俺も。

江本:
平松(政次)は、帽子脱げばよかったのに。

遠藤:
平松さん、若い時の平松さんですね。

江本:
モテモテのころだ。

2024年5月14日放送
平松政次:

「カミソリシュート」、長嶋さんが命名してくれたんですってね。

徳光:
そうなんですか。

平松:
あのゲームなんか終わって、「あのシュートはカミソリみたいだ」。それからもう、ずっと「カミソリシュート」に。だから一番うれしいですよね、長嶋さんにつけてもらったというのがね。

松井秀喜のレリーフの「顔」は本人のリクエスト?

徳光:
松井秀喜もあれですね、こういう表情で残ってるんだ。本人知ってるのかな。

遠藤:
いや、でも。

関口:
松井さんは「この写真で作ってください」ということで。

徳光:
言ってきたんですか。

関口貴広さん(野球殿堂博物館主任学芸員):
はい。あるスポーツ新聞社のセンターから撮ったカメラだったんで、非常に大きな写真でぽつんと打ってるところの写真で。だから、彫刻家の先生が、結構作るの大変だったって。

徳光:
なるほど。じゃ、かなり気に入ってたんだな、これ。

遠藤:
打った時のこの、「うっ」てこう、力が入って。

遠藤:
助っ人外国人選手が。

江本:
おお、本当だ。

徳光:
本当だ。

江本:
(ランディ・)バース。

遠藤:
(アレックス・)ラミレス、バース。そうですか。

徳光:
これは2人喜んだでしょうね。

関口:
ですね、助っ人といわれるような選手ではもう、初の殿堂入りでしたんで、おふたりが。

徳光:
古関裕而先生も入ってるんですか。

関口:
はい。

徳光:
「六甲おろし」と「闘魂こめて」と両方作られた。

江本:
そう、巨人、阪神の。

関口:
早慶の応援歌も。

江本:
すごいな、この人。

徳光:
やっぱりあれですね、幅広く行き届いてますね。

遠藤:
本当ですね。

徳光:
工藤がここで。

遠藤:
工藤さん。

徳光:
帽子を取ったところがあれですね、いかにも工藤さんらしい。

遠藤:
あれですか、胴上げでバンザイしてる時の工藤さんですか。

2024年12月3日放送
工藤公康:

日本一になる時っていうのは、1回でも一軍に上がった選手たちは、その胴上げするシーンの時には球場に来るんですよ。

徳光:
ああなるほどね。

工藤:
で、その時に同級生だった選手が、俺は今年一軍にいたんだけどあまり目立ってないと。俺が1人でやったってね、写真なんか出ないだろうけど、工藤と一緒にやったらその写真がバーンって、西武鉄道に貼られるかもしれないと。だから俺のために、一緒にレフト方向を向いてバンザイしてくれって言ったんですよ。
バンザーイってしたので、僕の隣にいる人間が首謀者です。その時のポスターを見てもらったらわかる。
「工藤がいきなり変なことしだしたんだよね」って、いや俺じゃないんだよ。

遠藤:
あら。斎藤雅樹さん。

江本:
おお、斎藤雅樹。

遠藤:
ええっ、雅樹さん?ちょっと雰囲気が違う。

2025年1月21日放送
徳光:

ジャイアンツ入った時はオーバーハンドでしたよね。

斎藤雅樹:
そうです。

徳光:
そうですよね。

斎藤雅樹:
藤田さんが1軍の監督が2軍の練習を見に来たんですよ、シーズン中に。で、僕のピッチングを見てて、投げ方を変えろと、「腕を下げてごらん」って言われたのが、今のサイドスローになるきっかけですね。

徳光:
サイドで最初に投げた時に、これ自分に合ってるかなと。

斎藤雅樹:
カーブがめちゃめちゃ曲がったんですよ。ビューって曲がったんですよ。「うわっすげぇ曲がる」って自分でびっくりして、あっ、これで何かやってみようかなというふうには思いましたね。

徳光:
本人の中ではね。

遠藤:
山本昌さん。

徳光:
昌さんは、これはどういう写真なんですか。

遠藤:
ラジコンやってる時ですか。

2025年3月18日放送
山本昌:

僕ね、有名なんですけど、ラジコンの運転しているときとセットポジションが同じと言われています。

徳光:
それ聞いたことがあるんですけど本当なんですか?

山本:
本当です。まったく同じです。ラジコンって僕、セットポジションこういうふうに構えたじゃないですか。ラジコンもこうなんですよ。だからこのままホームに投げられそうな感じ。でもヒジが楽な位置だから同じだよね、絶対。

徳光:
同じですね。

山本:
一緒?

遠藤:
谷繁(元信)さん。去年(2024年)ですね。

江本:
よく頑張ったね。ずっとだって、レギュラーでいた。

徳光:
だって3021試合ですもん、すごいですよ、これは。

2025年6月24日放送
徳光:

とてつもない選手ですね、あなたは。
だって、日本プロ野球史上最多の通算3021試合に出場。
これもありますよね、キャッチャーとしまして出場試合数が2963。これもうメジャーリーグでもいないそうです。で、横浜と中日で積み重ねた安打数がなんと2108本と。
そんな人だと思わずにつきあってたって。今あらためて。

谷繁元信:
僕、本当に身近な人にしか言わないんですけど、キャッチャーじゃなかったらもうちょっと打つ自信ありました。

徳光:
はぁ〜。

遠藤:
キャッチャーじゃなかったら、もっと打ってたっておっしゃってました、ご自身で。

江本:
いや、キャッチャーだからできたと思うよ。

徳光:
いやいやいや。これ1周するだけで時間どのぐらいだった?手元の時計で1時間10分。

遠藤:
いや、でも、もっとじっくり見られるぐらい。

徳光:
そうだよね。でも飽きなかったでしょ?飽きるところかとんでもないね。

遠藤:
時間が足りないです。もっともっとじっくり見ようと思えば、もっと何時間でもいられる。

徳光:
うん。温故知新を楽しめると言いましょうかね。そんな「故(ふる)きを温(たず)ねて新しきを知る」っていう。そういったようなところが野球殿堂の中にはたくさんございますけども。
これ、野球殿堂入りを果たすというのには、1つのクリアしなければならない関門みたいなのがあるんですか?

関口:
いや、何か基準とかがあるわけではないんですけれども。

徳光:
そうなんですか。

関口:
はい。

徳光:
より以上に貢献したっていう意味では、江本さんは間違いなく、本当に野球殿堂入りだと思うんですよ。

江本:
僕もあるかなと思って、ずっと見たら、なかったから。
いや僕もね、来るまではね、この人はなんで入ってるんだって、よっぽど言おうかなと思ってきたんですよ。でもそういう人はいなかったですね。

徳光:
そうですね、なるほど。やっぱり皆さん入った、江本さんも認めるという皆さんでございますけどね。

いよいよ徳光家のお宝「868号バット」が野球殿堂へ  

遠藤:
徳光さん、これで終わりではないんです。

徳光:
終わりじゃないの?

遠藤:
違います、このあと、いよいよ王さんの868号バットの寄贈式です。

徳光:
それを忘れるほどでございました。

遠藤:
またコレクションが1つ増えるわけですからね、この博物館。

徳光:
ぜひひとつ納めさせていただきますので、お受け取りください。

関口:
よろしくお願いします。

遠藤:
さあ徳光さん。いよいよ。

徳光:
ここに入っております。

遠藤:
はい。この場所というのも。

徳光:
王さんが見つめてくださっているところでの贈呈でございますから、こんなうれしいことが。
ちょっと見えますか?

江本:
ちょっと触ってみていいですか?

徳光:
はいはい。王さんが持って、間違いなくサインがあります。

江本:
重いですね、これ。

徳光:
「王貞治」って書いてあるでしょ?ここに「868」って書いてあるんだね。

江本:
はぁ。

徳光:
おそらく868本で生涯ホームランが終わったんで、皆さんに(868と)お書きになってるんだと思ったわけですよ。

2025年2月18日放送
徳光:

このバットで何本か打ってらっしゃるんですよね?

王貞治:
打ってます。

徳光:
最後のシリーズのバットで、それをですから最後のフォームランを打ったっていうんで、1980年の4月に「今年ホームラン打ったバットいただけませんか?」っていうお約束をしましたらですね、シーズンが終わってからこれが届いたら、結果的には、だからその夏の最後のホームランだったっていう。そういう経緯で僕の手に入ったことになりますけども。(王が引退を発表したのは1980年シーズン終了後)

徳光:
とある日にですね、「なんでも鑑定団」って番組あるじゃないですか。スポーツ鑑定の人と、それからバットを作った人が来られましてですね、「確かにこれは最後のシリーズのバットです」と。最後のシリーズのバットですから、それで打ったホームランだから、間違いなく最後のホームランを打ったバットだということになって、「これは大変なことになっちゃったな」というふうに思ったわけですね。

これをですね、今日こちらの館長でいらっしゃる庄司正信さんにですね、ぜひ贈呈させていただきたいなと思います。

徳光:
どうも大変前段が長くなりまして恐縮でございますが。

庄司正信さん(野球殿堂博物館館長):
とんでもございません。よろしくお願いします。

徳光:
そういったような経緯で、王さんから実はちょうだいいたしましたバットでございますので。

名残惜しい?手放す瞬間に徳光は…

徳光家秘蔵のお宝、王貞治さん「868号バット」がついに寄贈される。

徳光:
王さんはご自分では1本も記念すべきバットを持ってらっしゃらない。なぜ僕がその、「もしかすると」って思ったかって言いますと、歌手の八代亜紀さんが、「王さんからバットもらったのよ」って昔、話がありまして、それが「ヤシロ」なんで「846」号のホームランを打った時に。
八代亜紀さんがもらったんですって。

江本:
へぇ〜。

遠藤:
徳光さん、もうでもこれ、手元から離れちゃうわけですね。もう最後なんですね。

徳光:
そうなんですよね。

庄司:
嫁に出すような。

江本:
嫁に出すような気分で。

遠藤:
本当ですね。最後の。

江本:
しばし別れが。

徳光:
やめてもいいですか…。
ぜひ、お収めください。本当に。

庄司:
ありがとうございます。

徳光:
ありがとうございました。

徳光:
これで館長、本当に夜も眠れます。

庄司:
ぐっすりお眠りください。

徳光:
テレビで流したもんですから、いつかわれわれ老夫婦のところに、誰かが来るんじゃないかと思って心配してたんです。

江本:
危ない。危ないです。良かったです。

徳光:
これで眠れます。

庄司:
私も、いついただけるのかと思って、心待ちにしておりました。

今回寄贈された王貞治さん現役最後のホームランバットは2025年7月16日水曜日から野球殿堂博物館で公開される。

王貞治 現役最後の本塁打「868号バット」
2025年7月16日(水)より常設展示で公開
開館朝10時〜5時(東京ドームでプロ野球開催日は夕方6時閉館)
休館日毎週月曜日(祝日・東京ドーム野球開催日・夏休み期間中は開館)
 

遠藤:
お疲れさまでした。

徳光:
本当ですね。

遠藤:
今どんなお気持ちですか?

徳光:
なんとも言えない脱力感ですね。ちょっとやっぱり寂しいかなとね。
「手を離れ、世界の王が殿堂に」という感じですかね。
このレジェン堂に王さんに出ていただいて、その時に相談したことがよかったなっていうことをね、今ちょっとあらためて感じて。
自分の中では、本当にある意味で整理がついたかなっていう。本当に宝の持ち腐れだったんだから、これこそ。

遠藤:
いろんな方の目に…。

徳光:
止まるわけですよね。その人たちが見ている後ろで、元は俺のバットだって思って、そんな気持ちになるかもしれません。ありがとうございました。

(BSフジ「プロ野球レジェン堂」 2025年7月15日放送より)

「プロ野球レジェン堂」
BSフジ 毎週火曜日午後10時から放送
https://www.bsfuji.tv/legendo/

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