プロ野球に偉大な足跡を残した選手たちの功績、伝説を徳光和夫が引き出す『プロ野球レジェン堂』。記憶に残る名勝負や知られざる裏話、ライバル関係など、「最強のスポーツコンテンツ」だった“あの頃のプロ野球”のレジェンドたちに迫る!
王貞治さんの「868号バット」を寄贈するため、スタジオを飛び出し野球殿堂博物館へ。
パート1では、野球ファン必見の貴重なお宝の数々を堪能した一行。
パート2は、ついに歴史的な“レジェンド”たちが並ぶ“聖地”野球殿堂へ。
王貞治さんの肖像が見守る中、徳光家に眠っていた“お宝”が野球殿堂博物館の展示に加わる。
「徳光家の“王バット”殿堂入りスペシャル」パート2(前・中・後編)
【前編からの続き】
2025年“殿堂入り”の4人
徳光和夫:
これが今年(の殿堂入り)。

遠藤玲子(フジテレビアナウンサー):
まだレリーフがないんですね。
関口貴広さん(野球殿堂博物館主任学芸員):
今制作中でございます。
徳光:
いい写真だな。いずれも。
遠藤:
掛布さんの、この振ったあとのこの姿が。

2023年11月2日放送
徳光:
掛布さんといえば、少年たちがみんなまねしていた、当時、イチローの前にこれがありましたよね。このルーティン。
掛布雅之:
ありました。
徳光:
イチロー見てて、「あ、俺のまねしてるな」って思った?
掛布:
いやいやいや、そんなことはないんですけど。ただ、バットを回すのはですね、長い物差しだと思って、ピッチャーに対して右の肩をまっすぐ向けるの、ちょっとこうなりやすいんですよ。遠くへ飛ばそうとすると。
だからそれをまっすぐしたいという部分で、バットを使って物差しのように、これで回した方がこの角度が分かりやすいんで。
徳光:
じゃあ、理にかなってたわけですよね?
掛布:
そういうことです。
徳光:
いわゆる格好をつけてたわけじゃないですね。
掛布:
いや、そういうことじゃないですよ。で、上からスーッと下ろすのは、田淵(幸一)さんに教わった呼吸法です。
徳光:
呼吸してたんですか?
掛布:
鼻から吸って、口から6割ぐらい出した時に、肩の力がフーッと抜けて自分のポジションに収まるくらいの感じで構えろって言われたんですよ。
徳光:
掛布、岩瀬、イチローか。
江本:
イチローはもっと早いかなと思ったんですけど。

関口:
一応、引退して5年という規則がありますので。資格を得て初年度で殿堂入りという。最短ではあります。
徳光:
でもここまで見てきて、王さん出てないですね。
遠藤:
本当ですね。
「レジェン堂」でもたびたび話題に…広島初優勝時のエース・外木場義郎
遠藤:
ああ、外木場(義郎)さん。

徳光:
よく出てくるだろ?外木場さん。
遠藤:
外木場さん、お会いしたいです。
徳光:
レジェン堂の中に本当によく出てくる名前ですよ。外木場さん。

2024年4月30日放送
高田繁:
僕は外木場。
柴田勲:
僕も外木場、嫌い。
高田:
大嫌い。
柴田:
よく似てる、俺とね、高田は。
高田:
でね、柴田さん左じゃない。
柴田:
左でもやらない。
高田:
なんで嫌だって、僕ね。あいつのカーブというのがね、堀内よりもいいんですよ。
徳光:
はぁー、すごいなぁ。
高田:
どんなカーブってね。こうね、一回、ポンと一回上がるんですよ。そして頭の方に来る感じするんですよ。で、僕は「うわっ!」ってひっくり返ってよけるんですよ。そうすると、トーンと入ってストライク。
徳光:
はぁー。
高田:
俺ひっくり返って恥ずかしくてね、ストライクで。ボールだとまだいいんですよ(笑)。

2024年6月4日放送
谷沢健一:
一回浮くんですよ、カーブが。普通こう来るでしょ?それが一回浮くように見えるんですよ。
徳光:
外木場さんとの対戦成績、あまりよくないんですよ。
谷沢:
本当だ。2割2分6厘。あまり見たくないね。
徳光:
そうですよね。
江本:
外木場さんの球はやっぱり、あの当時、誰に聞いてもNo.1に速かった。
遠藤:
出ていただきたいな。

江本:
大野豊も。
遠藤:
大野豊さん。ずいぶん一気に若返りましたね。
徳光:
本当だね。

2025年3月25日放送
大野豊:
投球フォームとっても、あの粘りはできませんよ、はっきり言って。でまぁ、足上げるじゃないですか、軸足ためながら。ためながらもこういう感じかな。手がこうやって。
徳光:
ああああ、うれしい。やっぱり足の、この下半身。
大野:
そうですね、僕はもう常に下半身。こういう投げ方ですから。
下半身強化、そういう体の強さがあったからこそ、このフォームで投げられたし、長くできたと、まあ思いますよね。
江本:
さっき電話があったところでしたけど。

遠藤:
山本浩二さんですか。
江本:
そうです。やぼ用で。

2024年4月2日放送
徳光:
ちょっと優勝の話いきましょうかね。
30万人の人、パレードに出たんじゃないかと。
山本浩二:
初優勝ですから。拝む人がいればね。
徳光:
ああ、そうでしょうね。
山本浩二:
遺影を持っている人がいたり。だから本当、「ありがとう」が一番多かったですね。
徳光:
ああそうですか。
「弱小球団」という言葉が、なんか広島の代名詞みたいな形になってたわけですよね。
山本浩二:
その通りですね。でもね、まさか優勝すると思ってないんですよ、選手は。
徳光:
その時のチームの雰囲気ってどうだったんですか?そういう話し合いはあったんですか?
山本浩二:
ないですね。口に出さないんですよ、みんな。優勝するかもわからんと思うと、みんなプレッシャー感じてるんですよ。
徳光:
優勝を決めた試合が、後楽園球場(1975年10月15日)。
山本浩二:
後楽園です。あの後楽園が赤一色になりましたからね。
徳光:
そうでしたね。

遠藤:
堀内(恒夫)さんもいらっしゃいます。
江本:
平松(政次)、堀内、このへん僕ら年代が一緒。

2024年11月12日放送
徳光:
(高卒新人で)破竹の13連勝ですよ。怖さはなかったですか?
堀内恒夫:
ないです。
徳光:
なかった?
堀内:
ない。
徳光:
プロの怖さみたいなものは?
堀内:
わかんないですよ。怖いです、怖いなんてことないですよ。
打たれりゃ怖いかもしれないけど、打たれないから怖さないですよ。
徳光:
逆に言いますと、プロってこんなもんだみたいな。
堀内:
そうです、そうです。そんなもんだと思いました。
だってうちに王さん、長嶋さんっていう日本一のバッターが2人いるわけですよ。
「あとは3番目以下からだからな」って思ってたから。

江本:
若松(勉)はね、熊谷組と電電北海道の試合で、春先に初めて対戦したんです。
3本ヒット打たれましたね。なめて投げたらとんでもなかった。
アリゾナのキャンプの時に、球団でヤクルトが練習すると若松が打つ時だけみんな見に来るんですって。メジャーのやつが。こんなちっこいやつがね。カンカラカンカラ入るでしょう?みんな不思議そうに見に来てた。

若松さんの翌年、2010年に殿堂入りしたのが、東尾修さん。

2024年10月1日放送
徳光:
球史に残る165の死球。これはどういうふうに東尾さんとしましては。
東尾修:
バッターの威圧にも負けずによく、怖い人もいらっしゃるし、そういう意味ではよく投げきれたというか。
徳光:
あなたがおっしゃってたことはですね、打者がよけるから、だから当たるんだ、よけなかったら絶対当たってないと。俺はそれだけのコントロールがあるっておっしゃってましたよね。
東尾:
(自分から)当たりにくる人もいるわけです。昔例えばユニホームの中にタオルを入れて当たりにくる人とか、そういう人もいるんだから。
徳光:
そんな人いるんですか。

江本:
豊田泰光さんとか、ずいぶんお世話になりましたけど、若い時は。
徳光:
最初にテレビの番組で歌を歌ったの、豊田さんだと思う。すごいうまかったんです。「哀愁の街に霧が降る」って歌を歌ったんですけど。びっくりしました。
遠藤:
そのころからオフになる選手が歌ったりっていう番組が。
江本:
僕らもしょっちゅう出されたんですよ。

江本:
山田久志は1つ下ですけど、これの球速かったですもんね。
アンダースローであんな速いピッチャーいない。
徳光:
そうなんですってね。
江本:
いや山田の球はもう、ノムさんがヒーヒーヒーヒー言ってましたもん。打てなくて。
遠藤:
でもアンダースローじゃないんですもんね、ご自身いわく。
徳光:
そうなんですよ、体をそのまま、縦に曲げただけだと。

2024年5月21日放送
山田久志:
オーバーハンドっていうのはね、こう足を上げて、こうですよね。こうやって投げますよね。私のこういう角度で、ただ体を倒してるだけです。
徳光:
例えば。腕の振りはこっちまで来てないってこと?
山田:
いかないですね、こうはならないですね、私は。
徳光:
アンダーハンドは、だいたいここまで来ますよね?
山田:
そう、それだったらスピード出ないんですよ。
徳光:
はぁ。
山田:
私は最初オーバーハンドの入り方なんです。
徳光:
へぇ。
山田:
私は最初はこうしてて(振りかぶって)、こうなるんです。
徳光:
ロッキングモーションで。
山田:
こうなんです。こうなるんです、こうなって(上体を曲げて)。
だから単純なんです。
江本:
下からオーバースローなんです。本人言ってましたね。

江本:
高木守道さんは、もう名人でしたね、右打ちの。守備とあの右打ちの時はもう。右打ちで狙われたもう絶対やられます。
徳光:
そうですか。へぇ。
江本:
すごかった、守道は。
徳光:
守道さんは俺、同級生なんだよなあ。

江本:
門田とは4年間、南海にいましたけど、たぶんしゃべったのは2~3回しかないんじゃないですかね。物言わないんですよ。私も無口だったし。両方が無口同士なんで。
徳光:
へえ。門田は結構すごいバッターですよね、考えてみればね。
江本:
これ、僕が見た中ではスイングの速さは一番じゃないですか。今の選手見てても。このスイングを見に来たって言いますもんね、みんなが。
徳光:
そうですか。
江本:
はい。若いやつは。
徳光:
あの体でよくこのホームランをね。
江本:
そうですね。スイングがとにかくきれいでね。速いっていうか。ほんとにきれいなスイングで。
「世界の王貞治」投手たちを畏怖させた“目力”
遠藤:
あっ、ついに。

江本:
お、出ました。王さん。
徳光:
いよいよ王さんに来ました。これも何かちょっと飛び出てない。浮いてない?
遠藤:
確かに。
江本:
あれ、バットじゃなくて刀じゃないですか。刀に見えるんだけど。
遠藤:
でも王さんだけバットが。今までの方、バットが。
江本:
持ってる人いないよね。
徳光:
刀に見えますね。
江本:
刀に見えるよね。
徳光:
本当ですね。

遠藤:
この肖像でも、目力すごいですね、王さん。
江本:
それがね、そうなの。目力で負けてますよ。目を見なかったです、僕は、バッターの。
徳光:
らしいですね。
江本:
マウンドに来てから、目は見ないです。下向いてるんです。
徳光:
当時の人言ってましたね。目見てないって。

2025年4月22日放送
齊藤明雄:
昔の先輩はね、王さんの眼光すごく鋭いじゃない。あの眼光がね、バレーボールくらいになるぞ!と。
バレーボール、ゴルフボールだとわかるんだけど、バレーボールって言われたら。
徳光:
そうですよね。
齊藤:
そうなるって。

2025年3月25日放送
大野豊:
1アウトの満塁で初めて王さんと対戦したんですよ。
徳光:
いきなりそんなこと。
大野:
セット(ポジション)に入って、パッと見た時に目と目が合ったんですよ。足がガタガタガタッと震えたんですよ。
徳光:
はぁ〜。
大野:
この人やっぱり世界の王だなと。それを若い時に経験したから、少々の眼力の強い人でも、もう動揺しなくなりましたね。かえってこっちの方がにらみ返してやろうと(笑)。
遠藤:
どの角度からでも、見られてる感じがします。王さん。
徳光:
なるほど。
江本:
モナリザみたいでしょう。
遠藤:
はい。
江本:
モナリザみたいな。どっから見てもこっちを見てる。
遠藤:
どこからでも見られてる。
徳光:
作家に力が入ってるね、王さん。
江本:
気合いが入ってる。

遠藤:
でもすごいですね、このあたり。隣、稲尾(和久)さんですね。
徳光:
そうですよね。

徳光:
村山(実)さんもここに来てるんだね。
遠藤:
来ました。張本(勲)さん。

江本:
張本勲さん。
徳光:
張本さんも出てくる。張本さんは、何か穏やかですね、この張本さん。
遠藤:
巨人の時の張本さんなんですね、その。
江本:
これそうだ。
徳光:
本当だね。
遠藤:
帽子は。
徳光:
東映フライヤーズの時は全然違う人相でしたもんね。

2025年3月11日放送
徳光:
江本孟紀いたでしょ?
張本勲:
江本は1年か2年かな、入ってきてね。なんかすごくけんかっ早いと言われてね。私のところに連れてきて、「江本です」と言うからね、「背が高いね」って。それであとで聞いたら、「張本さんは監督より広い部屋に住んでる」と。
江本:
大部屋にいましたから1人で。10畳ぐらいの部屋に1人でいて。明らかにもうランクが違って。
遠藤:
また古くなってきましたね。

徳光:
浜崎(真二)さんって、身長150何cmの「小さな大エース」で。
ついこの間、(山本)昌が破るまではこの人だったんじゃないかな、40…。
関口:
最年長、はい。
徳光:
そうですよね、48歳、最年長の勝利投手は。
遠藤:
でも、じゃ、当時で。

江本:
この浜崎真二さんに僕、会ったことあるんですけどね。僕の手より、まだひと関節ぐらい長かったです。
徳光:
えっ。
遠藤:
えっ。
江本:
身長が157cmぐらいしかないんです。(江本の現役時代の身長は188cm)
徳光:
そうですよね。160cmなかったぐらいですね。
江本:
「お前、手見せろ」って言われてね。忘れもしないですよ。
遠藤:
へえ。
江本:
「うわ、何この人」と思ったんです。
徳光:
そうですか。
江本:
ピッチャーだから。
徳光:
そんな指が長かったんですか。
江本:
すごかったですよ。
【後編に続く】
(BSフジ「プロ野球レジェン堂」 2025年7月15日放送より)
「プロ野球レジェン堂」
BSフジ 毎週火曜日午後10時から放送
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