餅を食べる機会が増えるこの時期に気を付けたいのが、のどに詰まらせる窒息事故だ。日本では、窒息の発生が“正月三が日”に最も多くなるというデータもある。窒息死を防ぐために重要となるのが、窒息後の『5分』だという。窒息時の対応策や予防方法について医師に聞いた。

『元日』に最も多く発生する窒息「餅のほか寿司も…」

「日本人は、正月になると特にお餅を食べたくなる。そうすると、どうしても窒息の事案が増える」

こう話すのは、新潟市民病院救命救急・循環器病・脳卒中センターの佐藤信宏副センター長だ。

新潟市民病院救命救急・循環器病・脳卒中センター 佐藤信宏 副センター長
新潟市民病院救命救急・循環器病・脳卒中センター 佐藤信宏 副センター長
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2006年から10年間の窒息死を解析した日本の研究では、窒息の発生は『元日』が最も多く平均71例。次いで1月2日、3日と続き、一日の平均発生件数13例を大きく上回っている。

佐藤信宏副センター長は「餅は頻度としては食べる時期が限られるため少ないが、やはりリスクは高い。他には、お寿司も一口で食べてしまいたい人が多い。そうすると一口で食べようとして詰まらせることも少なくない」と話す。

高齢者の窒息リスク増す“4つの原因”

親族などで集まって食事を楽しむ機会も増えるこの時期。高齢者にとってはその食事に危険が潜んでいる。

佐藤信宏副センター長によると、高齢者の窒息のリスクが増す原因は『噛む力の低下』『唾液の減少』『飲み込む力の低下』『咳の力の低下』だという。

筑波大学の研究グループのデータでは、2006年から2016年に発生した全国の窒息死のうち、73%を75歳以上の後期高齢者が占めていることが明らかになっている。

重要な初期対応 生死を分ける目安は“5分”

万が一、窒息を引き起こした時に命を救うため重要となるのが初期の対応だ。佐藤副センター長は、窒息時の生死を分ける目安は“5分”で決まると話す。

イメージ
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「詰まらせてから5分以内に窒息が解除できたケースは、5分以降の人たちに比べて、その後、心臓が動いたり、意識が戻ったりする人たちが多いというのがデータとして出ている。いかに速く窒息を解除するかが大事」

新潟市内では、救急車が到着するまでにかかる時間は平均で約10分。地域や状況によってはそれ以上の時間がかかる場合もある。

佐藤副センター長は、「救急隊を呼ぶことは大事だが、その場に居合わせた人が何もしないで待つのではなく、できる応急処置を行うことが非常に大事」と強調する。

窒息時の対処法「咳ができれば非常に有効」

では、どのように対処すればよいのだろうか。佐藤副センター長に対処法を聞いた。手順は、大きく分けて4つ。

1.本人に咳を促す
2.背部叩打法を行う
3.腹部突き上げ法を行う
4.胸骨圧迫

佐藤副センター長は「まずは本人に咳をしてもらうことがすごく大事で、本人が咳ができるのであれば、咳をしてもらうことが非常に有効」

それでも出ない場合に行うのが『背部叩打法』。

背部叩打法とは、肩甲骨と肩甲骨の間くらいを手の付け根のところで叩く方法。これを5回行う。

背部叩打法
背部叩打法

それでも吐き出さない場合には『腹部突き上げ法』を行う。

腹部突き上げ法とは、本人の背中側からみぞおちの所に手を当てて上に突き上げるように人工的にお腹を圧迫して吐き出させる方法だ。これらを5回行う。

腹部突き上げ法
腹部突き上げ法

万が一、途中で意識がなくなった場合は心停止しているため、最後は胸骨圧迫を行う。

「小さく刻む」「よく噛む」予防意識持って食事を

ただ、こうした事態に陥らないよう、予防することが何よりも重要だ。

「大きなものは丸のみして窒息するリスクがあるので、刻んで小さくしてあげることが、非常に大事」

予防が重要
予防が重要

他にも、食べる前に水分をとる、よく噛むなど、食事の際に意識することでリスクを低減することができるという。

また、むせやすい・飲み込みに時間がかかるといった自覚症状が少しでもある場合は、耳鼻咽喉科などで嚥下機能を検査してもらうなど事前の対策も重要だ。

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NST新潟総合テレビ
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