プロ野球に偉大な足跡を残した選手たちの功績、伝説を徳光和夫が引き出す『プロ野球レジェン堂』。記憶に残る名勝負や知られざる裏話、ライバル関係など、「最強のスポーツコンテンツ」だった“あの頃のプロ野球”のレジェンドたちに迫る!

現役時代、通算868本のホームランを放った王貞治氏(現福岡ソフトバンクホークス会長)。その「世界の王」の最後のホームランバットは徳光が持っていた。王氏の了解のもと、“徳光家のお宝”が野球殿堂博物館に寄贈されることになった。
「徳光家の“王バット”殿堂入りスペシャル」パート1(前・中・後編)

番組初ロケで東京ドームの野球殿堂博物館へ

徳光和夫:
プロ野球レジェン堂ですが、今日は私たち初めてスタジオから出まして、ある場所に来ております。

遠藤玲子(フジテレビアナウンサー):
徳光さん、今日は私たちのホームに。

徳光:
言ってみればそうですよね、ほんとに。

野球殿堂博物館
野球殿堂博物館
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遠藤:
こちら東京ドームなんですけれども、しかも21番ゲートの近くにいるわけなんですが、実はここの場所に野球殿堂博物館があるんですね、徳光さん。

徳光:
ここは、かつて後楽園球場ってありましたね。後楽園球場の野球博物館もこのへんにあったんですよ。

遠藤:
そうなんですね。

徳光:
このあたりがずっと後楽園球場だったんですね。今は東京ドームの中に野球殿堂博物館が入っておりまして、非常に見応えがあると思いますので、きょうはそちらの方に行ってみたいなというふうに思うんでございますけど。

遠藤:
そうなんです。目的は、徳光さんがあのお宝をこちらに今日寄贈されるということですよね。

2025年2月18日放送回
遠藤:
王貞治さん(85)が、現役通算868号を打たれた最後のホームランのバットをなんと徳光さんが持っているということで…。

徳光:
ほんと信じられないかもしれませんけど、これが王さんが868本目のホームランを打ったバットです。

王:
確かに本物です。

徳光:
懐かしいですか。

王:
懐かしいです。

遠藤:
このバット、どういう経緯で徳光さんが持ってるんですか?

徳光:
引退の年、1980年の4月に、「今年、ホームランを打ったバットをいただけませんか」っていうお約束をしてたら、シーズンが終わってから、これが届いたんですよね。結果的にはこのバットが最後のホームランを打ったバットだった。

王:
それが最後ですから。

徳光:
そういう経緯で僕の手に入ったんですけど、これは王さんのご了解のもとに、野球殿堂博物館へ寄贈するのがよろしいんじゃないかっていうことで…。

王:
それはありがとうございます。

徳光:
今年中に野球殿堂博物館に寄贈させていただこうと思っています。

徳光:
私だけが持参しててはいけない、王貞治さん、“世界の王”の最後のホームランを打ったバット、今回、野球殿堂の方に寄贈させていただこうということになったわけでございますので。

遠藤:
そして今回、この機会に番組もお邪魔させていただいて、あらためて野球殿堂博物館、じっくり見ていきたいなと思っております。

徳光:
これは遠藤さんも野球好きだから、相当、青春に帰ってキャーキャー言うと思いますよ。

遠藤:
本当ですか。この番組を担当することになって、いろいろレジェンドの皆さんの話を伺ってきたので、いろいろ答え合わせがここでできるんじゃないかなと思ったりしています。

徳光:
うまいことおっしゃる。おそらくそうなると思いますよね。それじゃあ参りましょうか。

遠藤:
行きましょう。

徳光:
どうもお邪魔してます、こんにちは。

遠藤:
ロケ、新鮮ですね、徳光さん。

徳光:
あんまりロケはしない?

遠藤:
久しぶりですね。

徳光:
俺はこの年でロケばっかりなんだよ、ほんとに。
池上彰がうらやましいよ、ほんとに(笑)。

江本孟紀さんも合流して野球殿堂博物館へ

江本孟紀(77):
こんにちは。

徳光:
これは、これは。

江本:
いらっしゃいませ。館長の江本でございます。

遠藤:
館長、江本さんなんですか。

江本:
いや、そのうちやらしてもらうかなと思って。

徳光:
どうも本当にありがとうございます。

遠藤:
ご苦労さまでございます。

徳光:
ご自身がプロ野球殿堂入りしたいということでございまして、おそらくそのための運動で来られたんじゃないかなと思いますけど。

江本:
そうなんですよ。1票も入れてくれなかったですよ、誰も。

遠藤:
ということで、今日はプロ野球の歴史にくわしい江本さんと一緒に博物館見ていきたいと思うんですが、実は展示物などにくわしい学芸員の関口貴広さん(野球殿堂博物館主任学芸員)にも今回はご同行いただきます。よろしくお願いいたします。

関口貴広さん(野球殿堂博物館主任学芸員)
関口貴広さん(野球殿堂博物館主任学芸員)

関口貴広さん:
よろしくお願いします。

徳光:
関口さん、どうも今日はありがとうございます。

関口:
こちらこそ、ようこそいらっしゃいました。

徳光:
関口さんはすべての生き字引でいらっしゃいます。ぜひいろんなことを誘導していただきまして、また教えていただければと思います。

関口:
承知しました。

徳光:
よろしくお願いいたします。

関口:
お願いします。

野球殿堂博物館は1959年、財団法人野球体育博物館として、後楽園球場に隣接する場所に開館した。
1988年、東京ドームの完成に伴い移転。プロアマ問わず国内外の野球に関する資料を収集・保管し公開している。

中でも、野球殿堂には歴史的なレジェンドたちのほか、日本の野球の発展に貢献した方々の功績をたたえるレリーフを展示、2025年に新たに殿堂入りした4人を含め、これまで222人が野球殿堂入りしている。

遠藤:
まず、徳光さん、最新の。

徳光:
一番最新の殿堂入りの。

関口:
2025年の野球殿堂入りのお4方の展示になります。

徳光:
分かりますか、皆さん。イチローさんは分かりますよね。

遠藤:
岩瀬(仁紀)さん。

徳光:
岩瀬さんもですね、中日の左腕。

遠藤:
掛布(雅之)さん。

徳光:
掛布さん。

遠藤:
ゲストにも来ていただいてますね。

徳光:
そうですよね。

遠藤:
富澤(宏哉)さんは?

徳光:
富澤さんも審判の時の…。

江本:
富澤さんは僕らがやってる時の審判のチーフ的な人で、関東と関西に昔は審判が別れてて、関東の大御所です、この人。

遠藤:
審判の方も殿堂入りされるってことなんですね。

徳光:
野球に関わる方はほとんど、貢献されました方は、ひとつの評価としまして殿堂入りされてますよね。

関口:
そうですね。選手、監督、グラウンドの方だけではなくて、オーナーさんであったりとか、球団関係者、それからアマチュア野球の方ですとか。

徳光:
アマチュア野球の方も。

遠藤:
こちらが現在の12球団のユニホーム。

関口:
はい。「プロ野球Today」というコーナーで、今のユニフォームとグッズと各球団の中心選手のものをシーズン終わりにちょっとずついただきながら、更新をちょっとずつしています。

入り口に昨年日本シリーズ優勝しましたベイスターズの。

徳光:
ああ、なるほど。うれしかっただろうね、女性オーナー初。

江本:
日本一、南場(智子)さんね。

遠藤:
これは毎年変わるってことですね。

関口:
その手前にあるのが、 優勝の決まった第6戦のスコアブック。

徳光:
こういう見せ方をしてくれるんだ。

遠藤:
公式スコアなんですね。

関口:
…のコピーなんですけれども。NPBの公式記録員がすべての試合、こうしてスコアをつけてますので、優勝決まった試合のスコアを特別に展示をさせていただいています。

江本:
この生原(謙)さんっていったら、記録員なんですよ。アイク生原っていったら、昔ドジャースの、あのおいっ子さんです。
この前も東京ドームで私放送してるこのあたりにいるんですよ、記録員で。

徳光:
あのアイク生原のおいっ子さん。

関口:
ほんと中継席の真下に。

江本:
中継の真下です。

遠藤:
アイクさん、山本昌さんの恩人の方ですよね。

山本昌(59)(2025年3月18日放送):
ベロビーチにキャンプに行ってそこで残されるんですよ。みんな帰っちゃうんです。

徳光:
これ(アメリカ留学)が大転機になるわけですね。昌さんにしてみれば。

山本:
この時に出会った恩師が、アイク生原さんという方に出会うんですけど。アイクさんに出会うんですけど、この方いなかったら、たぶんまともにアメリカ留学もやれてなかったと思います。

関口:
スコアシートなんですけど、枠の中に、たぶんおなじみなのはひし形、ダイヤモンド描いてあるのが一般的だと思うんですが、これ、描かれてないパターンで。

徳光:
本当だ。

遠藤:
本当ですね。真ん中に描くんですか。

関口:
プロ野球の公式記録員さんは、NPB式というか、慶応式といわれるんですけど、このタイプのスコアのつけ方をされてます。

徳光:
そうなんですか。

遠藤:
慶応式って慶応大学の慶応ですか。

関口:
そうです。一般的に普及してるのは早稲田式という。スコアの書き方も早慶で。そうなんです。

徳光:
慶応がこう。そんなところでも早慶の違いがあるんですか。

関口:
ただ、もうほぼNPBの公式記録員さんしか使ってないみたいで、慶応義塾の野球部さんも今現状では使ってらっしゃらないかなという書き方ということで。

遠藤:
大学で違うんですね、書き方が。知りませんでした。

徳光:
そうだね。

江本さんの最後のグラブが「あの番組」に!?

遠藤:
こちらセ・リーグからですかね。
監督のこれは色紙ですか。

関口:
はい。毎年、各球団のスローガンを一緒に書いていただいて。

徳光:
「どらポジ」、なるほど。これは井上(一樹、中日監督)さんだ。

遠藤:
井上監督。新監督も皆さん書かれて。
ジャイアンツじゃないですか。

徳光:
これジャイアンツ、阿部(慎之助)さんで「新風」ですよね。

遠藤:
達筆ですね。

徳光:
だって、あの人書家だもん、阿部さんって。

遠藤:
そうなんですか。

徳光:
これ、選手によってグラブがずいぶん小さい人もいるんですね。
だって、彼なんか見て、こんなに小さいんだよ。

遠藤:
誰ですか。

徳光:
宮西(尚生、日本ハム)君っていうピッチャー。

江本孟紀:
そうですね、小さいですね。

関口:
それぞれ選手のプレースタイルや好みとかでグラブもそうですし、バットの形も皆さん千差万別で。

遠藤:
今の選手って、刺しゅうで言葉入れたりするじゃないですか、内側とかに。
江本さんの時代って?

江本:
僕は水島新司さんが漫画を書いてましたね、僕のグラブに。

遠藤:
へー!

江本:
それで、最後にスタンドにプレゼントしたやつを、30年後ぐらいに、何だっけ?

関口:
「鑑定団」ですか。

江本:
「鑑定団」に持ってきた人がいて。鑑定したら60万円でしたね。

遠藤:
取った人が鑑定団に。

江本:
はい、取った人が。拾った人が何十年かして持ってきたんですよ。

徳光:
60万。

遠藤:
えー!

江本:
これ、本物かって聞いたら、そこに水島さんの絵が描いてあったので。

徳光:
じゃあ、間違いないんだ。

江本:
これは。僕の名前は全然価値なかったんですよ。

徳光:
いや、そんなことはないです。

江本:
水島さんの似顔絵が価値があったんです。

徳光:
そうじゃない、そうじゃない。

江本:
そう言われたんですよ。

遠藤:
これ関口さん、選手から直接博物館用にというふうにお願いする?

関口:
球団を通して、球団にお願いをして、球団さんの方で選手に話をしていただいて博物館用にということでご提供いただくと。
特に今、ピッチャーはやはり、ピッチャーだとか野手のグラブをリクエストしても、グラブってやっぱり(選手にとって)欠かすことのできない、タイミングによっては「ちょっと今出せないです」とか、なかなかいただくハードル高かったりするんですけど。

遠藤:
石川(雅規)投手、これヤクルト、この前じゃないですか。

関口:
そうですね。

遠藤:
24年連続勝利達成試合(2025年4月9日達成)。

徳光:
ついこの間のだな。

関口:
球団とそれから対戦相手のタイガースさんにお願いをして、その日の試合球をちょっと1球確保していただいて、サイン書いていただいて。

遠藤:
本当タイムリーなものまですぐ展示されるんですね。
あ、浅村(栄斗、楽天)選手です。ついこの間の。

徳光:
名球会入りしましたけれども(2025年5月24日に史上56人目の200本安打達成)。

遠藤:
2000本安打のバットとかがそのうち…。

関口:
どうなるか。

遠藤:
これだけでももう、価値のあるものがいっぱいありますね。

【中編に続く】
(BSフジ「プロ野球レジェン堂」 2025年7月8日放送より)

「プロ野球レジェン堂」
BSフジ 毎週火曜日午後10時から放送
https://www.bsfuji.tv/legendo/

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