韓国・ソウルで中国人観光客の増加に反対する“反中デモ”が頻発している。背景には、9月末に導入された中国団体客向けビザ免除政策があり、繁華街で「チャイナ・アウト」の声が上がった。一方、台湾観光客は誤解を避けるため「台湾から来ました」と記したバッジを着用していた。中国を巡る緊張は、東アジアで一層高まっている。

トランプ大統領“助言”報道「そのような事実はない」

普段であれば観光客や買い物客でにぎわう韓国の首都ソウルの繁華街。

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ところが、聞こえてきたのは「チャイナ・アウト(中国は出ていけ)」のシュプレヒコールだった。

ソウルでは今、頻繁に“反中国のデモ”が行われていた。

中国を巡っては、台湾有事を巡る高市首相の答弁がきっかけで緊張関係が続く日本。

アメリカのウォール・ストリート・ジャーナルは26日、アメリカ政府当局者の話として、トランプ大統領が25日に行った高市首相との電話会談で発言を控えるよう求めていたと報じた。

電話会談直後には、「会談内容ですが、外交上のやりとりですので詳細については差し控えさせてください」と話していた高市首相。

トランプ大統領が“中国を刺激しないよう”助言していたと報じられた。

しかし、27日午後、木原官房長官が記事の一部を否定。

木原官房長官:
ご指摘の記事に「トランプ大統領から台湾の主権に関する問題で中国政府を挑発しないよう助言」との記述。そのような事実はない点は明確にしたい。

「日本がうらやましい」韓国で“反中デモ”相次ぐ

こうした中、韓国では“反中国”の動きが拡大している。

多くの商店が立ち並ぶソウル市南部の繁華街で26日夜も行われた保守系支持者のデモ活動。

幅広い年齢層の男女が100人近く参加した。

一体なぜ、韓国で反中デモが行われているのか。
事の発端は2025年の9月末に導入された、中国の団体観光客に向けた一時的な“ビザ免除政策”。

これにより、中国人観光客の増加に反対する人たちが毎日のように各地でデモを行っているという。

MBCキャスター:
外国人の多い明洞で続いていた嫌中デモが今は大林洞に場所を変えました。

9月には、ソウルの中の中国と呼ばれる中華街でデモが行われた。

さらに、中国の習近平国家主席が韓国を訪問した10月には、反中国のスローガンを叫んだYouTuberが警察に検挙された。

そして、26日にも行われた反中デモ。

参加者は「ビザなし反対」と書かれたプラカードを掲げていた。

デモの参加者からは「ずっと中国文化が定着しているのが以前から理解できなかった」「私は日本がこんなにうらやましいと思ったことがありません。高市首相が本当によくやっているじゃないですか」といった声が聞かれた。

反中デモがソウル各地で行われる中、登場したのが英語や韓国語で「台湾から来ました」と書かれたバッジ。

中国本土ではなく、台湾から来た観光客の間でバッジを身に付ける人が増えているのだ。

台湾から来た女性:
私たちも中国語を話すので、韓国の人たちが私たちを中国本土の人と誤解するのではないかと心配していた。

中国を巡る緊張は各地で続きそうだ。
(「イット!」11月27日放送より)

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