■駆除までの73時間に何があったのか…

円山動物園にヒグマ侵入
円山動物園にヒグマ侵入
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11月、北海道札幌市の円山動物園にクマが侵入し、動物園は前代未聞の状況に直面した。

駆除までの73時間に何があったのか。対応の指揮を執ったキーパーソンが初めて語った。

■クマの足跡が見つかり臨時で休園

来場者に臨時休園を告げる動物園職員
来場者に臨時休園を告げる動物園職員

「申し訳ないです。クマの痕跡ですね。一般のお客様が入っているところは問題ないんですがその裏側の園の敷地内でクマの足跡が見つかりまして臨時で休園させていただきます」(動物園職員)

「残念です」(来園者)

「申し訳ないです」(動物園職員)

■市民や観光客でにぎわう“不穏な日曜日”

11月9日。市民や観光客でにぎわう日曜日だった。

園内で目撃されたクマ(提供:札幌市)
園内で目撃されたクマ(提供:札幌市)

「クマの足跡があったの?」

「怖い」(いずれも海外からの観光客)

■“前例のないクマの出没”に対応

経営管理課長の木田竜介さん
経営管理課長の木田竜介さん

「(Q:クマが出ると思った?)いや、まず思ってはいなかった。(円山動物園の)開園から約70年経つがクマが出たという話は聞いたことがなかった。驚いた」(円山動物園経営管理課長 木田竜介さん)

円山動物園の経営管理課長・木田竜介さん。前例のないクマの出没に対応するため、指揮を執った。

駆除までの73時間で何が起きていたのか。

■クマは高さ3メートルのフェンスの奥から…

クマが来たとされる円山原生林
クマが来たとされる円山原生林

「あそこにフェンスが見えているがその奥が円山原始林。フェンスの高さは3メートルぐらいある」

「(Q:クマは向こうから来た?)はい、そうですね。初めてクマの足跡が見つかったのはこちらの橋」(木田さん)

スタッフの一人がクマの足跡を見つけたのは、園の東側にある「動物園の森」で、ふだんは一般公開していないエリアだった。

■足跡の発見から約3時間後に臨時休園

発見された足跡と比較用の手袋(提供:円山動物園)
発見された足跡と比較用の手袋(提供:円山動物園)

すぐに木田さんにも連絡が入る。

「聞いた時は驚いて、ちょっと信じられないような気持ちだった」 

「動物園ということもあって、これがヒグマの足跡かどうかというのは即座に判断することができた」

「それで急いで臨時閉園を決めた」(いずれも木田さん)

足跡の発見から約3時間後に臨時休園。

■「野生復帰施設」の金網に穴が…

クマにより破られた建物の金網(提供:札幌市)
クマにより破られた建物の金網(提供:札幌市)

敷地内で確認を進めると、驚くべきことが分かった。

「金網が引っ張られている状況が発見され、こちらにも侵入していたことが発覚した」(木田さん)

「動物園の森」に近い「野生復帰施設」の金網に穴が見つかったのだ。

■シマフクロウの施設にはエサのホッケとヒヨコ

シマフクロウのエサが保管されていた「野生復帰施設」(提供:札幌市円山動物園)
シマフクロウのエサが保管されていた「野生復帰施設」(提供:札幌市円山動物園)

当時この施設にはシマフクロウがいた。

「エサとしてホッケとヒヨコが置いてあり小屋の窓は夜間に換気のために開けていた。ただ金網が付いていて施錠もしていたので、外からは侵入できないようになっていたが…」(木田さん

■エサのにおいに誘われたのか…

金網をつかんで侵入を試みるクマ(提供:札幌市)
金網をつかんで侵入を試みるクマ(提供:札幌市)

においに誘われたのか、クマは金網を破って侵入したあと、シマフクロウのエサのホッケなどを食べ尽くしたとみられている。

そして、その夜…。

「あちらに夜間警備の人がいて、あそこからこのあたりをヒグマが横切ったのを見た」(木田さん)

園の西側、円山球場そばの通用門のあたりでクマの姿が確認されている。

■クマは徘徊するように園内を動き回る

園内のクマ目撃は複数箇所におよんだ
園内のクマ目撃は複数箇所におよんだ

「本来は園内の巡視とかをしてもらうが、そういうのはストップしてもらった」

「こちらが西門。あっちの方に足跡がついていた」(いずれも木田さん)

11月10日朝、西門のほか猛禽類や水鳥の建物など、クマは徘徊するように園内を動き回っているのが確認された。

「まず『飼育動物が大丈夫か?』ということが真っ先に頭に浮かんだ」(木田さん)

クマは動物園の周辺でも出没を続ける。

■「ちょっとやばいという感じ」付近の住民も不安

クマの目撃情報に警戒する住民
クマの目撃情報に警戒する住民

「北海道神宮のあたりで目撃されるのはちょっとやばいという感じ」(付近の住民)

動物がいる建物の周りには電気柵。そして、クマが味を覚えたホッケを入れて箱わなを設置する。

しかし、クマはその後も「野生復帰施設」の周辺などに現れた。

■厳戒態勢…キーパーソンが明かした当時の不安

園内外で警戒が続いた(提供:札幌市)
園内外で警戒が続いた(提供:札幌市)

「(職員は)朝まず猟友会に園内の安全を確認してもらったうえで入園するようにしていた」

「円山公園も閉鎖になっていたので地下鉄駅まで行くのも危険ではないかということで、自家用車で来ている職員が駅まで送ったりとか」

「率直に不安だった」(いずれも木田さん)

■クマスプレーを持ち歩く付近住民も

クマよけスプレーを携帯する住民も
クマよけスプレーを携帯する住民も

円山公園は全面閉鎖。そしてクマは住宅街にも…。

「クマよけスプレーを持ち歩いている。これがあれば少しは安心かな」(付近の住民)

■73時間後に駆除されたのは若いヒグマ

足跡発見から約73時間後にクマは駆除された(提供:札幌市)
足跡発見から約73時間後にクマは駆除された(提供:札幌市)

11月12日、箱わながようやくクマを捕らえた。体長1メートル13センチのやせた、若いオス。最初の足跡発見から約73時間後、クマは駆除された。

「不確実な、本当にどこにいるか、また明日も入るのかという日々が続いていたので、ホッとはした」(木田さん)

■野生のクマが侵入する異常事態…新たな対策を検討

「侵入されてしまったことは反省している」(木田さん)
「侵入されてしまったことは反省している」(木田さん)

「(園内で飼育されているクマを見て)大きい、来た来た。思っていたより大きい」(来園者)

「(Q:実は園内にもクマが侵入したが?)怖いね。怖いです」(神奈川県からの観光客)

「(Q:皆さんは動物を扱うプロ。ヒグマが入ってきてしまうことは想定外のところもあったと思うが改めてどう思う?)フェンスがあったり外から侵入されない対策は取っていたつもりだがこのような侵入を結果的には招いてしまった、侵入されてしまったことは反省している」

「(園の)外周に電気柵を張れないかとか、検討をしているところ」(いずれも木田さん)

動物園に野生のクマが侵入するという異常事態。これまでの想定を見直し、対策が検討されている。

北海道文化放送
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