ただ、そこでもやはり、相手に寄りかからないことが大事。お互いを束縛しないという自立の姿勢が第一。自立は「自由であること、自己決定ができる」ことと同義語です。だから孤独を怖がって、必要以上に“つるむ”ことはおすすめしていません。

まず友達をつくること。だけどつるまないでソロ立ちをしていること。そんな選択をしておけば、最期がよくなるはずだと、僕は確信しています。
突然の入院のときにパンツを持ってきて、と頼めるくらいの友達がいれば、人はひとりで悠々と死んでいけます。社会は勝手に「孤独死」などと言いますが、気にする必要はありません。死んだ者勝ちなのです。
おひとりさまに必要な準備
最後はおひとりさまになることが多い。そこで、最低限の準備をしておくことをおすすめします。
例えば、老人施設に入る際、ひとり暮らしで身近に適当な保証人がいない場合。保証人代行サービスを利用するとよいと思います。保証人がいないと入居を拒まれる場合もあるのですが、代行サービスが保証人の代わりをしてくれるのです。

LMN(ライフ・メディカル・ナーシング)という家事代行ビジネスもあります。入会金44万円で、交通費や手数料などは別途必要ですが、2週間に一度程度、サポートをしてくれます。
施設を探してくれたり、施設に希望するものを届けてくれたり、「外出してレストランでごはんを食べたい」ときは一緒に付き添ってくれます。つまり家族の代行をしてくれるサービスです。
福岡市などは、前もって聞き取りをしながら、ひとり暮らしの人たちがどういう希望なのかに応じて死んだあとのサポートをしてくれます。前もって火葬を申請し、かかる経費を支払っておけばよいのです。
そして、もしお金が余ったら、残りはお世話になった市町村や訪問看護介護ステーションなどに寄付をするのです。そうすれば人生の有終の美を飾れるというものです。
多死時代の火葬問題
高齢化が進み、日本はこれから「多死社会」に突入します。同時に、ひとり暮らしの高齢者も増加していきます。
「知らない間に火葬された“あふれる遺体”相次ぐトラブルの実態」と題した、NHKの「クローズアップ現代」に2024年、出演しました。
NHKの調べでは、引き取り手がわからない遺体を自治体が火葬した件数は、2023年で約1万2000件。自治体の事務負担が増え、遺体の保管、火葬などの費用を合計すると年間60億円を超えるといいます。
親族の確認などをしている間、遺体を預かる間のドライアイスなどは1日当たり1万円というところもあるそう。だから、自治体はできるだけ速やかに火葬をしたいと考えても不思議ではありません。