「人生100年時代」と言われて久しいが、長生きするのであればなるべく健康的に生きていきたい。しかし、年齢が高くなるにつれて、厄介なことは増えていく。その一つが認知症だ。
現在77歳で現役医師でもある鎌田實さんは、認知症に気をつけるために60歳頃から意識を変えてきたというが、老化の波は押し寄せ、病気になることもしばしば…。
それでも鎌田さんいわく、「うまいように死ぬ」ためには「うまいように生きる」こと、「やりたいことを続ける」が大事とのこと。
著書『うまいように死ぬ』(扶桑社)から一部抜粋・再編集して紹介する。
80歳の壁超える60歳からの生き方
「人生100年時代」を迎えています。そんなに長く生きなくてもいいと思っている人でも長生きをしてしまう時代です。長生きすればよいという単純なものではなく、けっこう厄介な問題が横たわっています。
高齢者の認知症の発症率は80代前半で、男性が6人に1人、女性は4人に1人。つまり80歳の壁を超すと、認知症になる人が、想像以上に多くいるという現実があります。

90歳の壁を超すともっと大変です。男性は2人に1人、女性は3人に2人が認知症だと言われています。うまいように死ぬのは、けっこう大変。人生100年時代は苦難の時代と言ってもいいくらいです。
僕はいま77歳。テレビを見ていて、時々、俳優の名前や歌手の名前が出てこないなんて現象が起こり始めています。本が大好きなので、本屋さんに立ち寄ると小説のコーナーと写真集のコーナー、そして必ず詩集のある棚に行きます。
田村隆一の詩が好きで、自分が持ってない彼の詩集があると、つい買ってしまいます。我が家には僕が設計した、天井まで高く本が置ける本棚があります。
詩集のコーナーを設けていて、新しく買った彼の詩集をそこに差し込んだときにびっくり。すでにあったのに、また同じ本を買ってしまったのです。