政府が2026年の発足を目指す「防災庁」の設置関連法案が5月19日、衆院本会議で可決された。参院審議を経て今国会で成立する公算が大きく、災害対応の司令塔機能を担う新組織の設置に向け大きな節目を迎えた。
国会で“防災”ヘルメット着用訓練
この日の衆院本会議は、委員会で可決済みの法案採決を終えた後、防災用ヘルメット着用訓練が行われた。
訓練は、大規模地震発生を想定して緊急地震速報を流し、森英介議長が議事中断を表明するとともに全議員にヘルメット着用を呼びかけた。議員らが応じ、座席下に備え付けられたヘルメットを取り出し着用した。
あご紐は「顔の前」 議長の講評に笑い声
過去に防災担当大臣を務めた古屋圭司議員は、着用したヘルメットのあご紐が、アゴにかかっておらず、鼻のあたりにぶら下がった状態。映像で確認できる限りで14秒間あった。
ヘルメットのあご紐をしっかり締めることは基本だ。正しく締めなければ、地震の揺れや転倒の衝撃でヘルメットが外れ、頭部保護の機能を果たせなくなる。
訓練後、『ここで議長からご講評を賜りたいと存じます』とアナウンスされた際には議場から笑い声と拍手が上がった。議長が『本日は議員各位のご協力により有意義な訓練となりました』と述べると、再び笑い声が上がった。
議長は続いて『災害はいつ何時起きるか分かりません。そうした非常時には沈着かつ冷静に行動することが何より重要であり、そのためには日頃からの備えと訓練の積み重ねが不可欠です』と述べた。
議場からは『そうだ』と相づちの声。議長は続ける。『今後とも皆様とともに防災意識を一層高め、非常時においても国会の機能を維持できるよう万全を期して参りたいと存じます。本日はありがとうございました』と述べると、議場からは万雷の拍手。
複数の官僚は、この日の様子について「呆れたあり様だ」「ひどい。遺憾としか言いようがない」などと感想を述べた。
2011年3月11日、東日本大震災が発生した際、参議院では決算委員会の審議中だった。災害は時も場所も選ばないことを、当時の国会議員らも経験している。
制度が整いつつあるなか問われる意識
全国の小学校では避難訓練が繰り返され、子どもたちはヘルメットをかぶり、避難経路を確認している。訓練への真剣な取り組みは教育現場では当然のこととして根付いている。
防災庁設置法案が可決された当日の、本会議場で行われた約5分間の訓練。
あご紐が外れたヘルメット、講評への笑い声。法律や組織が整備されても、防災意識は不可欠だ。
防災庁が真に機能するためには、法律や組織の整備と同時に、政治家1人ひとりの防災意識も問われる。
まずは出来ることから、範を示して頂きたい。
