長生きするのであれば、活動的で食べることもできる、なるべく“元気”な状態でいたい。
現役医師で現在77歳の鎌田實さんは、元気な高齢者には5つの傾向があることに気づいたという。さらに「どうせ死ぬんだから…」と無気力になるのではなく、最後まで「ありがとう」の気持ちを忘れないことが大切とのこと。
著書『うまいように死ぬ』(扶桑社)から、一部抜粋・再編集して紹介する。
元気な高齢者5つの傾向
長年、健康づくり運動をしてきた経験から、元気な高齢者には5つの傾向があると気づきました。
(1)無気力になっていない。よく動く。日々の活動や自分流の運動で、筋肉を刺激している。
(2)よく食べる。とくにタンパク質をたっぷり、お酒はほどほどに楽しむ。
(3)無頓着になっていない。相手の気持ちや思いを想像する力がある。おしゃれにも頓着している。
(4)無感動になっていないか気をつけている。好奇心を持って生きている。
(5)ありがとうの気持ちを失っていない。礼を失い無礼になって、まわりとうまくいかなくなっていない。
僕がよく知っている95歳を超しても元気なおじいちゃんは農業を続けていて、よく動きます。だからよく食べます。
家族全員で即席ラーメンを食べました。野菜を“ましまし”にした野菜ラーメン。若い人たちはライスと一緒にラーメンライス。すると、このおじいちゃんは、「俺にもライスくれや」…実にうまいように生きていると思いました。
でも、よく食べるのはいいけど、お酒の飲み過ぎはよくない。このおじいちゃん、日本酒が大好き。毎日、半合ほど楽しんで、機嫌がよくなるとひとりで民謡を歌い出します。
孫やひ孫がたくさん来てくれたりすると、うれしくて「ありがとう、ありがとう」と、彼らに感謝します。
気づいたときから目指せる
元気な高齢者を目指すのは、何歳からでも遅くありません。「もう手遅れでは?」などと思わずに、気がついたときから行動変容を意識することが大切なのです。

よく食べ、運動し、できるだけいろいろなことに感動して、常に気力を奮い立たせて生きることが大事です。
ちょっとした景色に「わあ、きれい」と素直に感動し、人の親切に「ありがたいことだ」と感謝し、おいしいものを食べたときには「うまい」と口に出し、自分で自分の心を揺さぶるのです。
小説を読み、テレビドラマや映画を観て、悲しい場面があったらホロッとすることもとても大事。無感動にならないように、日々、気をつけることです。