職場で事あるごとに、「みんなで話し合う」機会は多い。
みんなで力を合わせて協力することは成果を生み、仲間に助けてもらうこともある。
しかし、こうした「集団」はいいこともあれば、うまくいかないこともあるという。
福岡大学人文学部准教授の縄田健悟さんは、著書『“集団心理”から読み解く 残念な職場から一流のチームまで だけどチームがワークしない』(日経BP)で、集団に潜む問題と解決策を解説している。
本著から「集団で話し合えば良い結論に達するわけではない」ことについて、一部抜粋・再編集して紹介する。
では、どうすれば良い結論に達するのだろうか。
話し合うほど良い結論から遠ざかる
新規の企画やサービスをつくろうと、みんなで集まってミーティングを行うことはよくあります。会社以外でも、集団で話し合う場面は多いものです。
しかし、せっかくみんなで話し合っても、いや、みんなで話し合えばこそ、良い結論からむしろ遠ざかってしまうことがあります。
たとえば、しっかりと会議の準備をして参加した、その問題に一番詳しい人よりも、あまり詳しくないけどおしゃべりな人が持論をずっとしゃべりつづけた結果、よくわからない結論で決まってしまったといった経験、みなさんはないでしょうか。
こうした失敗の背後には、集団による「話し合い」が持つ落とし穴が隠れています。

そもそも、なぜ私たちは集団で話し合いをするのでしょうか?
「三人寄れば文殊の知恵」ということわざがあります。1人では解決が難しい問題であっても、3人が集まって集団になれば、知恵をつかさどる文殊菩薩のような賢さが手に入るというものです。
英語でも「2つの頭は1つよりも良い(two heads are better than one)」という同様のことわざがあり、洋の東西を問わず、広く信じられてきました。
つまり、私たちは話し合いをすれば、より適切に問題を解決でき、創造的なアイデアが出てくると期待しています。
しかし、それって本当なのでしょうか。