チームでやる仕事で、明らかに手を抜いている人に怒りを感じることはないだろうか?ただその“手抜き”、実は自身の貢献がチームにとって「必要ではない」と感じた場合に起こるという。
もしそれがチームメンバー全員に起こってしまうと…パフォーマンスが一気に落ちることは間違いない。では、社会的手抜きを防ぐにはどうすればいいのか。
福岡大学人文学部准教授の縄田健悟さんの著書『“集団心理”から読み解く 残念な職場から一流のチームまで だけどチームがワークしない』(日経BP)から一部抜粋・再編集して紹介する。
大切なのは、集団のなかで自分がチームにとって必要だと感じことだそうだ。
手抜きを抑制する2つの方法
自分がしっかり貢献しなければならないと認識すると、社会的手抜きは防ぐことができます。さらには、パフォーマンスの向上も目指せます。
したがって、社会的手抜きを防ぐにはこうした「自分がやらねば感」を強める方法を考える必要があります。
ここでは手抜きを抑制するための方法を2つほど紹介しましょう。
(1)集団と課題へのコミットを強める
(2)個人成果の見える化を進める
【手抜きを抑制するには(1)集団と課題へのコミットを強める】
「自分がやらねば」という感覚を醸成するためには、集団メンバーが課題と集団へのコミットを強めることが不可欠です。
つまり、メンバー一人ひとりが、課題や集団を真剣に捉え、重視することが求められます。

■1-a:課題の重要性を高める
個人が、達成しなければならない課題をどのくらい重視しているかが社会的手抜きを抑制するカギです。メタ分析研究でも、課題が本人にとって高い価値を持っているときには、社会的手抜きが生じにくいことが示されています(※Karau & Williams(1993))。
社会的手抜きの実験では、課題として「綱引き」や「ものの新たな用途を考えるブレスト」などが用いられてきました。しかし、これらの課題は実験参加者にとって特に重要ではありません。
真剣に取り組む動機づけが低いのです。しかし、自分にとって重要な課題であれば、「がんばらなければ」という意識が働きます。