ここは、集団での話し合いが問題解決や創造性にどう影響するかについて掘り下げていきます。

個人よりも集団は賢いの?

はじめに、「個人と集団のどちらの方が、よりよく問題解決できるのか」というのを確認しましょう。

一般的には、1人よりも、みんなで一緒に集団で問題に取り組んだ方が良い結果が得られるだろうと思いますよね。

これはそのとおりです。多くの研究が個人よりも集団の方が優れた問題解決を行えることを示しています。

典型的な実験を紹介しましょう。

数学の問題(※Laughlin & Ellis(1986))や言葉の類推課題(※Laughlin & Adamopoulos(1980))を解いてもらう実験です。

この実験は3つのフェーズで構成されています。

縄田健悟さん著書『だけどチームがワークしない』より
縄田健悟さん著書『だけどチームがワークしない』より

【第1フェーズ】個人で解答(5~6人の個人が各自バラバラに問題を解く)
【第2フェーズ】集団で解答(同じ問題を今度は集団で話し合いながら解く)
【第3フェーズ】個人で解答(同じ問題を改めて個人が各自バラバラに解く)


実験の結果、まず、第1フェーズの個人解答から第2フェーズの集団解答になった際に、正答率が大幅に上昇しました。

誰か1人でも正解にたどり着ければそれを共有できるためです。特に明確な1つの正解が存在する数学の問題では顕著でした。

さらに、第3フェーズでもう一度、一人ひとりバラバラに解いてもらうときには、集団で一度解けたことでそのまま正解率は集団のときと同じになります。おおむね集団解答の正答率が維持されていました。

一方で、第1フェーズから第3フェーズまで、すべて個人だけで行ったパターンでは、正答率はほとんど上がりませんでした。つまり、単に時間をかけたことで、フェーズが進むほど正解率が高まったというわけではなかったのだといえます。

正解者も集団で解くと間違える

とはいえ、ここまでの結果は想像どおりのものかと思います。