学歴詐称が問題となっている伊東市の田久保眞紀 市長は8月14日、疑惑を深めている“卒業証書”をめぐり、「卒業できていない人間に卒業証書を渡さないのは当然だと思うので、そこはきちんと確認するべき」と東洋大学に責任を転嫁するかのような発言をした。背景にあると見られるのが、代理人弁護士による会見での“ある発言”だ。

疑惑の“卒業証書”

伊東市の田久保眞紀 市長は市の広報誌に「東洋大学法学部卒業」と記載していたにも関わらず、実際には除籍だったことがわかっていて、市議会は百条委員会を設置した上で事務手続きについて調査を進めている。

この問題で疑惑を深めているのが“卒業証書”の存在だ。

伊東市・田久保眞紀 市長
伊東市・田久保眞紀 市長
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田久保市長は学歴詐称問題が表面化し始めた6月4日、市議会の中島弘道 議長と青木敬博 副議長に対し“卒業証書”なる資料を見せた。

提示した時間に関しては田久保市長と正副議長とで見解が異なっているものの、それが“卒業証書”とされる資料という認識は一致している。

だが、言うまでもなく除籍された学生に卒業証書が授与されることはない。

東洋大学に“責任転嫁”

ところが、田久保市長は8月14日、報道陣の取材に対し「卒業できていない人間に卒業証書を渡さないのは当然だと思うので、そこはきちんと確認するべき。(大学に記録が)残っているかどうかわからないが卒業見込みだったのかどうかもまだわからないし、細かい内容がわからない」と東洋大学に責任を転嫁するかのような発言をした。

東洋大学が同月6日に「本学学則では、卒業した者に、卒業証書を交付することとしており、卒業していない者に対して卒業証書を発行することはありません」との公式声明を発表しているにも関わらず、だ。

それに、仮に卒業見込みだったとしても卒業証書が事前に付与されることは通常ありえない。

代理人弁護士は“本物と確信”

田久保市長が強弁を貫く背景には、代理人弁護士の“ある発言”が関係していると見られている。

7月2日に田久保市長が会見を開いた際、同席した福島正洋 弁護士は「あれ(“卒業証書”)は普通に考えて偽物とは思わない」と断言し、7日の会見でも「私の目から見てあれが偽物とは思っていない」と重ねて強調した。

福島正洋 弁護士
福島正洋 弁護士

このため、田久保市長としては整合性を図る意味でも“卒業証書は本物”という立場を崩せずにいる可能性が高い。

また、7月2日の会見で田久保市長は「一度卒業という扱いになって、なぜ除籍になっているのかはきちんと事実関係に基づいて確認していかないと(いけない)」と述べていて、あくまでも卒業後に除籍されたとの主張であることから8月14日の発言につながっている。

そうなると、田久保市長が“卒業証書”なる資料を公開するなり、百条委員会に提出するなり、東洋大学に証書番号を照会するなりすれば、何が正しく、何が間違っているのかすぐに判明すると思われるが、疑惑の“卒業証書”は代理人弁護士が所属する事務所の金庫に眠ったままとなっていて、市長自身が言及した検察に上申するとの話も今のところ果たされていない。

(テレビ静岡)

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