最近よく見聞きする「心理的安全性」だが、それは「単なるはやり言葉ではない」という。

福岡大学人文学部准教授の縄田健悟さんは、すでに多くの研究がされている「心理的安全性」が注目されている理由として、「現代の会社で重要であるにもかかわらず、なかなか実現できていないから」だとする。

著書『“集団心理”から読み解く 残念な職場から一流のチームまで だけどチームがワークしない』(日経BP)から一部抜粋・再編集して紹介する。

「単なるはやり言葉」ではない

ここ数年、心理的安全性という考え方がたいへん注目を集めています。

本書に興味をお持ちの方であれば、心理的安全性という言葉はどこかで聞いたことがあるのではないかと思います。

一方で、一過性のはやり言葉にすぎないと思っている人もいるかもしれません。しかし、心理的安全性はむしろチームワークにおいて、根源的な要素であることが近年の研究で指摘されています。

ここでは心理的安全性の考え方に関して正しく理解し、何が重要でなぜ注目されているかを理解していきましょう。

まず定義からいきましょう。

心理的安全性の学術的な定義としては、「『対人的なリスク』のある行動を行っても大丈夫だとメンバーみんなが信じられる状態」が代表的なものです(※Edmondson(1999))。