「猫って、すごい」
幼い頃から猫と暮らすフリーライターの佐竹茉莉子さんは、猫の取材を重ねるにつれて、その思いをが強くなっていったという。
著書『猫は奇跡』(辰巳出版)は、猫や飼い主の人生を一変させるような17つのドラマを集めた一冊。
「威厳と慈愛で野生の子たちを束ねるボス猫、コタロウ」を一部抜粋・再編集して紹介する。
いつもみんなの真ん中に
「home for paws(ホームフォーパウズ)」は、紗由里さんの個人シェルターだ。譲渡までを預かる犬は、元野犬、もしくは野犬の母親から生まれた子である。保護した猫たちもまじえ、仲良く共同生活を送っている。
常時10匹近くいるという野犬の子のパワーはすさまじい。シェルターの訪問者はあっという間に、子犬とは思えぬ力でもみくしゃにされる。
この記事の画像(6枚)ワシャワシャとはしゃぐ彼らを、一段高い段の上から眼光鋭く見渡す、焦げ茶色のりりしい長毛猫がいる。シェルター長のコタロウだ。けっして大きくはない体一つでパワフルな犬たちを統率できるのは、彼が一身に「敬愛」を集めているからだ。
「犬たちにとって私は寮母さん的存在。でも、コタロウはここのれっきとしたリーダーでありボスであり、シェルター長です。みんなコタロウを怒らせたら大変だと思ってる。でも、大好きだから遊んでほしい。で、のべつみんなして寄っていくんです」と、紗由里さんは笑う。
やんちゃな子猫時代
コタロウは、紗由里さんの友人に茨城県で保護された猫だ。公園の自転車置き場に、段ボールに入れられてきょうだい3匹で捨てられていた。
友人宅のチワワのショコラ父さんに愛情深く育てられたコタロウを、紗由里さんが迎えたのは、2016年の9月。