天皇皇后両陛下は、4月25日、障害者の雇用に積極的に取り組んでいる会社を訪問されました。
これは「障害者週間」にちなんだ訪問で、両陛下が現地に足を運ばれるのは3年ぶりです。
この会社では、従業員91人のうち71人が障害者で、ビルの清掃や事務機械の修理、さらに社内カフェの運営などを行っています。
両陛下 カフェをご視察
社内にあるカフェスペースを訪れた両陛下は、ハンドドリップでコーヒーを入れる様子などをご覧になりました。
陛下が「良い香りがしますね」「入れ方は難しいですか?」などと質問されると、従業員は「お湯を注ぐ量を安定させるように意識しております」と答えていました。
また、紙コップに手描きのイラストがあることに目をとめ、「かわいい」と笑顔を見せられた皇后さま。
お二人は入れたてのコーヒーを受け取ると、「おいしそうですね」「皆さん喜ばれるでしょうね」と話されていました。
そして、ラテアートを描く様子をご覧になり、皇后さまは「きれいなハートに感動しました」とその腕前に感心されていました。
パソコン作業をご視察
続いて、両陛下はパソコンの初期設定をする作業を視察されました。
陛下:
どうですか? 作業は上手くいっていますか?
従業員:
おかげ様で。
皇后さま:
難しいですか?
従業員:
みなさんに分かりやすいかたちで図とか写真を多く入れています。
また、皇后さまは、見落としが無いように何度も確認するという説明に「チェックすることがたくさんあって大変ですね」といたわっていらっしゃいました。
上皇ご夫妻 20年以上にわたり訪問続けられる
平成7(1995)年、12月3日からの1週間が「障害者週間」と定められ、上皇ご夫妻はその翌年から、障害者週間の前後に施設の訪問を始められました。
リハビリ施設をはじめ、社会的自立や就労への支援をする施設などにも足を運び、退位するまで20年以上にわたり訪問を続けられました。
両陛下に受け継がれ コロナ禍でもオンラインで
令和になり、上皇ご夫妻から思いを引き継がれた両陛下。陛下は、令和2(2020)年、国立障害者リハビリテーションセンター創立40周年記念式典で、次のように述べられています。
《陛下 おことばより》
今後、障害の有無にかかわらず、誰もが相互に人格や個性を尊重し支え合う「共生社会」が築かれていくことを切に願っています。
即位後、初めての障害者施設への訪問で、指先に障害のある人が特殊な器具を使い、パソコン操作に取り組む様子をご覧になられた両陛下。「作業の方はいかがですか?」「始めてどのくらいになりますか」などと声をかけられました。
コロナ禍で現地訪問が難しい状況となっても、オンラインで遠隔地の施設と結び、交流を続けられました。
今回の視察で両陛下は、「働く皆さんがいきいきと過ごされていますね」と話し、直接交流出来る喜びを実感されていたということです。
(「皇室ご一家」4月30日放送)