新春恒例の宮中行事「歌会始の儀」が1月14日、皇居・宮殿「松の間」で行われ、天皇皇后両陛下、長女の愛子さま、秋篠宮ご夫妻をはじめ皇族方が出席されました。秋篠宮家の長男・悠仁さまのご出席は初めてです。

ラオスの子どもたちを詠まれた愛子さま

年の初めに共通のお題で詠んだ和歌が古式ゆかしい節回しで披露される「歌会始」。
令和8(2026)年のお題は「明」です。

歌会始の儀(皇居・宮殿)
歌会始の儀(皇居・宮殿)
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陛下に招かれて歌を詠む「召人(めしうど)」には、日本文学者のピーター・マクミランさんが選ばれました。外国出身の「召人」は初めてです。

召人 ピーター・マクミランさん
召人 ピーター・マクミランさん

今年は皇族代表として、初めて愛子さまの歌が詠み上げられました。

日本語を 学ぶラオスの 子どもらの 明るき声は 教室に満つ

 
 

令和7(2025)年11月、ラオスを訪問された愛子さま。地元の中高一貫校で、日本語や日本文化を学ぶ授業を見学されました。

令和8(2025)年11月 ラオスで日本語の授業を視察された愛子さま
令和8(2025)年11月 ラオスで日本語の授業を視察された愛子さま

「日本語の文字も好きでいてくださってうれしいです」と声を掛けられた愛子さま。活気に満ちた教室で日本語を楽しく学んでいる様子をうれしく思い、歌にされました。

「歌会始」の選者で、皇室の和歌の相談役・宮内庁御用掛も務める歌人の永田和宏さんは、次のように解説します。

「歌会始」選者の永田和宏さん
「歌会始」選者の永田和宏さん

永田和宏さん:
今回、作ってこられたラオスの歌のが5首だったんですよ。ちょっと驚きましたけど、歌の完成度が毎年上がっているような気がしますね。(この歌は)ほぼ何も手直ししないで、そのまま「これがいいでしょう」と申し上げたんですよね。日本語を学んでいる子どもたちを頼もしいというか、ありがたいと思われたんだと思うんですけど、それが素直に出てる歌だったと思いますね。

トンボ愛あふれる悠仁さま

初めて「歌会始」に出席された悠仁さま。詠まれたのは、小さいころから大好きなトンボの歌でした。

薄明かり 黄昏とんぼは 橋のうへ 青くつきりと 俊敏に飛ぶ

 
 

青色の模様が特徴のオスの「マルタンヤンマ」を見た思い出を歌にされました。

平成27(2015)年8月 トンボ採りをされる悠仁さま(赤坂御用地)
平成27(2015)年8月 トンボ採りをされる悠仁さま(赤坂御用地)

永田和宏さん:
これは本当に正直びっくりしましたね。3首作ってこられたんだけど、3首ともなかなか面白くて。特に「黄昏とんぼ」の歌は、「黄昏とんぼ」という言い方が、トンボが好きな青年の歌なんだなと思わせましたし、「俊敏に飛ぶ」も悠仁さまが自分で作ってこられた言葉だし、歌の言葉の勘所っていうのは、なかなかいいなと拝見しましたね。
自分が一番興味を持っているものは実感として、リアルにそのものを詠むことができるので、それはよかったと思いますね。

令和7(2025)年6月 ブラジルを訪問された佳子さま
令和7(2025)年6月 ブラジルを訪問された佳子さま

秋篠宮家の次女・佳子さまは、ブラジルの子どもたちとの思い出を詠まれました。

ブラジルと 日本で会つた 子どもらの 明るい未来 幸せ願ふ

一般からは理科の実験と恋心を重ねた歌など

令和8(2026)年の歌会始には、1万4千首を超える一般応募があり、その中から選ばれた10人の歌も披露されました。

一般応募から選ばれた10人の入選者
一般応募から選ばれた10人の入選者

今回の最年少は、新潟市の本間優大さん、17歳。ミョウバンの実験と恋心を重ねた歌を寄せました。

明礬(みやうばん)の 再結晶の 実験は 君への恋を 形にしてる

東京学館新潟高2年・本間優大さん
東京学館新潟高2年・本間優大さん

儀式の後、両陛下と懇談した入選者たち。本間さんは「『ミョウバンと恋心を合わせたところが秀逸である』と言われました。陛下も小学校中学校時代、ミョウバンの再結晶の実験をしていて、そのお話をしてもらいました」と話しました。

 
 

秋篠宮妃紀子さまは、東日本大震災の被災地での子どもたちとの交流を歌にされました。

雨降れば 部屋で工作 紙芝居 「あそびのひろば」は 明るい広場

 
 

秋篠宮さまは、野鳥の調査で訪れたタイの情景を詠まれました。

夜明け前 一番鶏の 鳴く声に アンルーナイの 一日始まる

手話で交流できた喜びを歌にされた皇后さま

去年、「デフリンピック」の水泳競技をご家族で観戦された皇后さま。選手たちと少しでも会話できればと、事前に手話を学び、競技後に選手と懇談されています。

令和7(2025)年11月 デフリンピック 競泳 金メダル・茨隆太郎選手と手話で懇談される天皇ご一家
令和7(2025)年11月 デフリンピック 競泳 金メダル・茨隆太郎選手と手話で懇談される天皇ご一家

手話で「おめでとう」と選手に直接伝えることができた喜びと、障害の有無に関わらず互いを尊重しあう「共生社会」への願いを込め、歌にされました。

メダル掛け 笑顔明るき 選手らに 手話で伝へる 祝ひのことば

皇后さまの歌「皇后宮御歌(きさいのみやのみうた)」の披露
皇后さまの歌「皇后宮御歌(きさいのみやのみうた)」の披露

永田和宏さん:
「笑顔明るき」と、とても「明」という字が素直に使われていて、「手話で伝へる 祝ひのことば」という下の句に、皇后さま自身の思いがほのかに感じられるところが、この歌のいいところだと思いますね。
雅子さまにも、そういう感性の素直さというか、いかにもこの言葉が自然に生まれてるなあと思わせるだけの素直さ、率直さがあると思ってるんです。

元日、「明けの明星」に平安を願われた天皇陛下

毎年元日の夜明け前から、宮中三殿で祭祀に臨まれている天皇陛下。冬空に輝く「明けの明星」=金星を見上げたときの思いを歌にされました。

天空に かがやく明星 眺めつつ 新たなる年の 平安祈る

平成30年1月1日 歳旦祭が行われる夜明け前の宮中三殿(提供:宮内庁)
平成30年1月1日 歳旦祭が行われる夜明け前の宮中三殿(提供:宮内庁)

永田和宏さん:
音の響きが非常におおらかで、歌柄の大きな歌になったと思いますね。そこから天皇の願い事の一つである、平安、平穏というものがでてくる。これは天皇として「晴れ(公)」を意識して歌われた歌だなと思いましたね。

 
 

両陛下、皇族方、それぞれの思いが込められた歌が披露された「歌会始の儀」。来年(令和9年)のお題は「旅」に決まりました。一般の応募は9月30日まで宮内庁で受け付けています。
(「皇室ご一家」1月25日放送)

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