酸味がありお菓子に欠かせない「紅玉」

「紅玉」は日本のりんご栽培の原点ともいえる品種です。

りんごが日本に伝来したのは江戸時代の文久年間で、越前藩主が江戸の別邸にアメリカから導入したりんごの苗木を植えました。本格的な栽培は、1871年(明治4年)にアメリカから持ち帰った苗木を、北海道で試験栽培したのが始まりです。このときの品種の一つが「紅玉」で、現在まで長く愛され続けています。

甘酸っぱさがお菓子にぴったりな「紅玉」
甘酸っぱさがお菓子にぴったりな「紅玉」

真っ赤な果皮の小ぶりなりんごで、鮮烈な酸味が特徴です。生のままでも甘酸っぱく濃厚な味わいが楽しめますが、加熱調理にも適しており、アップルパイなどのお菓子に欠かせない定番品種として愛され続けています。

アメリカでの名称は「ジョナサン」で、「紅玉」と「ゴールデンデリシャス」の交配で生まれた「ジョナゴールド」にその名が継承されています。また、国内生産量第2位の「つがる」も「紅玉」と「ゴールデンデリシャス」の交雑で誕生しました。

長野と群馬発祥の気になるりんごたち

「シナノスイート」は、国内生産量1位の「ふじ」と2位の「つがる」から生まれたエリート品種。薄く縦縞が入る果皮に包まれたその味わいは、甘みはもちろん、ほのかな酸味、香り高さも魅力です。

長野県生まれのエリート「シナノスイート」
長野県生まれのエリート「シナノスイート」

この「シナノスイート」、甘みと酸味のバランスがよい黄色いりんご「シナノゴールド」、濃赤色のルックスに芳醇な香りと硬めの食感がたまらない「秋映」の3品種は長野県オリジナルで「りんご三兄弟」と呼ばれています。

芸術的な美しさに魅了される「秋映」
芸術的な美しさに魅了される「秋映」

「ぐんま名月」は、その名の通り群馬県生まれで、黄色い果皮にほんのりと赤みを帯びた、なんとも愛らしい姿のりんごです。

ほんのり赤みを帯びた「ぐんま名月」
ほんのり赤みを帯びた「ぐんま名月」

日に当たると橙紅色に色づくのだとか。酸味が控えめで、甘みが強く、サクッとした食感で、香りもよく、ジューシーな味わいです。

今回は数ある品種の中からごく一部を紹介しましたが、まだまだ他にも魅力的な品種がたくさんあります。

資料を元に特集班と筆者作成
資料を元に特集班と筆者作成

甘さと酸味のバランスを示した表も、ぜひ参考にしていただければと思います。