食卓を彩り、私たちの健康を支える四季折々の野菜と果物。せっかくなら、おいしく上手に食べたいもの。野菜と果物を知り尽くした“野菜ソムリエ上級プロ”で“果物ソムリエ”の堀基子さんが、おいしさと栄養を余すところなく引き出す方法をお伝えします。
文・写真=堀基子
アツアツの焼きいもが恋しい季節。今回のテーマは「さつまいも」です。
芽が出たら?黒い汁は何?
さつまいもはアサガオと同じヒルガオ科サツマイモ属に分類され、アサガオによく似た美しい花を咲かせます。
同じいもでも、じゃがいもの芽や光が当たって緑色になった部分には天然の毒素であるソラニンやチャコニンが含まれているので食べるのは避けるべきですが、さつまいもの芽には有毒な成分がないため芽が出ても食べられます。
ただし、芽はさつまいも本体の栄養分を吸収して成長するので、風味が落ちてきますから、芽が出たら早めに食べましょう。ちなみに、芽が出た部分のさつまいもをカットし、水を張った器に入れて育てると、風情のある観葉植物として楽しめます。
生のさつまいもや焼きいもを購入した際、黒い液体のようなものがこびり付いていることがあります。
これは、さつまいもやその葉柄を切った際ににじみ出てくるヤラピンという白い液体が、空気に触れて酸化して黒くなったものです。ヤラピンは便秘を改善する働きが期待できるので、お通じでお悩みの方は、積極的にさつまいもを食べてみてはいかがでしょうか。
食糧難を救った歴史と品種の特徴
さつまいもの原産地はメキシコを中心とする熱帯アメリカで、15世紀の終わりにコロンブスがヨーロッパへ持ち帰り、植民地のアフリカ、インド、東南アジアなどへと広まりました。その後、1605年に、琉球王国が中国へ使節や貢物を送る進貢船の船員が沖縄へ持ち帰って栽培に成功し、それが薩摩へ伝わり、「唐芋」「琉球芋」「薩摩芋」と呼ばれて日本各地へ広まったのです。
