ミラノコルティナ五輪・フィギュアスケート女子で銅メダルを獲得した新潟市出身の中井亜美(17)。シニアのデビューシーズンで一気に五輪のメダリストに駆け上がった17歳の活躍の裏には何があったのか…そこには、無欲の強さが垣間見えた。
銅メダル獲得も…五輪出場は「行けたらラッキー」
「すごく日本の層が厚いので、その中でオリンピックに行けるとも思ってなかったですし、こうやって今オリンピックの舞台に立って、トリプルアクセル着氷してメダルを取れたことが本当にうれしいです」
表彰式後のインタビューでこう話した新潟市出身の中井亜美(17)。
この言葉は決して謙遜ではなく、これまでの歩みを振り返れば自然に出てきた本音だったのだろう。
ジュニアの舞台で活躍してきた中井だったが、シニアではフリーの演技時間は延び、演技構成も変わるため、シニア1年目の五輪出場を強く意識はしていなかった。
中井も中庭健介コーチもしきりに「五輪には行けたらラッキーくらいの思いでいる」と話していた。
五輪代表目指し代名詞・3A以外も徹底強化
五輪シーズンとなった2025年シーズン。五輪代表になるためには、GPファイナルで日本人上位の成績を収めるか、全日本フィギュアで上位に入るかが大きな選考基準となっていた。

そのGPファイナルに出場するためには、GPシリーズ2戦の合計で上位6人に入らなければならない。日本の層の厚さを考えれば、それが簡単な道ではないことは明らかだった。
加えて、中井はGPシリーズで2戦とも出場できる保障はなかった。ジュニア最後のシーズンに出場した世界ジュニア選手権で上位3人に入れば2戦出場が確保されたが、中井は表彰台を逃していたのだ。

それでも、運良く2戦目の出場が決まり、中井の快進撃が始まる。
GPシリーズのデビュー戦となったフランス大会で世界ランキング1位だった坂本花織を抑えて優勝。続くカナダ大会でも3位に入り、グランプリファイナル出場を決めた。それでも中井に気負いはなかった。
「目の前にあることをしっかりやっていくうちに、結果となっていけばいいなというふうに思っている。まずは全日本選手権やグランプリファイナルをしっかりこなしていければ、結果は変わってくるかなって思う」
代名詞のトリプルアクセルを武器にしていた中井だったが、中庭コーチは「やっぱりアクセルを跳べば勝てるような甘い世界ではないので、とにかくアクセルだけと言われないように、それ以外の部分を特に徹底的に強化した」と話す。
中井も「練習内容は、ジュニアの頃よりもしっかり自分から追い込めるようになって、だいぶ前よりは練習量も増えてきているかなという感じ。貸し切りの中でショート・フリーどっちもかけたり、今までそんなに追い込んで来てなかったところを結構増やしてきた」と地道に努力を続けていた。
そして、迎えたGPファイナル。中井は日本人最上位となる銀メダルを獲得し、オリンピックを自らの力で手繰り寄せた。
運命の全日本フィギュアでは、フリーでトリプルアクセルを失敗したものの、強化してきた滑りや表現力を見せ、4位に。夢だったオリンピック出場を決めた。
中井が大切にしている思い「スケートの楽しさ忘れない」
まだあどけなさの残る17歳にはオリンピックに出場するという夢と共に大切にしてきた思いがある。
「新潟で得たことは、やっぱりスケートの楽しさを忘れないというのは、小さい頃から言われていて、楽しむことが一番だし、楽しまなきゃ結局やっていけないと思っているので、それは今でも大切にしていること」
浅田真央さんがバンクーバー五輪で銀メダルを獲得して16年…
その姿に憧れを抱き続けた中井は、努力で掴んだ世界最高峰の夢舞台で、スケートの楽しさを体現してみせた。
