昨シーズン、年間グランドスラムを達成した“りくりゅう”こと、三浦璃来・木原龍一ペア。

木原のケガにより、今シーズン前半の大会は出場を見送った。そして1月30日から始まる四大陸フィギュアスケート選手権が2人にとって復帰戦となる。

そんな2人が2023年7月のオフで見せてくれた素顔から彼らの絆を追う。

『SPY×FAMILY』にハマり中

普段は、拠点のカナダで生活をする三浦と木原。

2023年7月、オフシーズンにアイスショー出演のため日本に一時帰国をしていた際、貴重なオフの取材ができた。

一時帰国中に食べたものを三浦は「お寿司。回転寿司に行きました!龍一くんがどうしても『コーン巻きを食べたい』って言うから」と言うと、木原は「コーン巻きが一番おいしいと思う!」と推す。

オフシーズンの過ごし方を木原は「いろいろ遊びに行った」ようで、三浦は「トロントで野球を見に行ったり、カナダ全体をミニチュア模型にしたリトルカナダを見に行ったり、ナイアガラの滝にも行きました!」と楽しかったオフを振り返る。

普段は自炊をしているという木原は「圧力鍋でカレーをよく作ります!」と得意げに語る隣で、「木原選手が、というよりは、圧力鍋が作っているよね」と三浦が鋭くツッコむ。

「こういうこと言うんですよー!もうおすそわけしない」と木原がふてくされると、三浦は「ごめんなさい、おいしいです」と笑った。

『SPY×FAMILY』にハマっているりくりゅう。スマホにもシールが!
『SPY×FAMILY』にハマっているりくりゅう。スマホにもシールが!
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そんな2人は、マンガ『SPY×FAMILY』にハマっているようで、日本とカナダ用に2つ持ち歩いているスマホにそれぞれ『SPY×FAMILY』のシールを貼っていた。

「私が大阪にあるアニメの店に連れて行ったら、(木原が)買いたいと言ったので。2人で一緒に買ってケースに貼りました。もともとマンガ全巻持っていたので、めっちゃ勧めたら読むようになってハマって、アニメも見てドハマりしています」と三浦。

登場するキャラクターの中で、「アーニャ」と「ボンド」が好きな三浦。一方、木原は「ロイド」が好きなようで「なんか、アーニャに振り回されているロイドが自分みたい。りくちゃんに振り回されている俺、みたいな」と苦笑した。

三浦に「ふんっ」ってされます

9歳の年の差を感じさせないバツグンの相性の良さは、オフの会話からも垣間見ることができる。

「お互いの足りないところを補い合っている」という2人は結成5年目を迎えた。

この5年の中で一番ぶつかったり、ケンカしたことを聞くと、三浦は「小さいケンカはいっぱいするよね」と木原に投げかける。

木原も「ケンカは日常。どっちが曲をかけるかでケンカはしましたけど、仲いいので、そういうケンカが多いです」と明かす。

ケンカしたときのことを再現してくれたりくりゅう
ケンカしたときのことを再現してくれたりくりゅう

それがケンカなのか問いかけると、うなずく2人。

ケンカの末に木原は「(三浦に)『ふんっ』てされる。話しかけても『ふんっ』って言います。効果音がついてきて、怒っていてもそれやるんだって思って」と話すと、三浦は「確かに」と笑う。

「ふんっ」という三浦も「お互いそれでケガをしたくないので、ちゃんと仲直りはします」とケンカは長引かせないと語った。

2人の活躍を受けて、ペア競技を始める後輩たちも増えてきた。

オフに“ゆなすみ”と野球を見に行ったというりくりゅう
オフに“ゆなすみ”と野球を見に行ったというりくりゅう

2023年5月に結成した“ゆなすみ”こと長岡柚奈・森口澄士ペアや清水咲衣・本田ルーカス剛史ペアも誕生。

木原は「僕が始めたときは道しるべがなかったので、僕たちが走り続けることによって、次の世代の子たちの道しるべになればいいかなと2人で思っています」と話す。

新しく誕生したペアとの交流もあったようで、「トロントに練習に来ていたので、時間は限られていたのでたくさんはなかったんですけど、3組で話せました。すごいなぁと練習を見ていました」と言う。

三浦も「すごくパワフルだった」と新ペアの印象を話した。

世界一強いと聞いて思い浮かぶものは?

2022年の北京五輪団体で日本史上初の銅メダル獲得に貢献し、2022-23シーズンでは、主要国際大会をすべて制覇する年間グランドスラムを達成した三浦と木原。

しかし、三浦は「あまりそうだという実感はない。だって、ノーミスじゃないじゃん」と頂点に立っても心残りはあるという。

世界選手権のフリーを披露するりくりゅう(2023年)
世界選手権のフリーを披露するりくりゅう(2023年)

木原も「ノーミスでもなかったし、シーズン最終戦のほかの試合で、まだまだ自分たちの力が足りないなとライバルチームと一緒に試合に出場してすごく感じた。世界選手権は取れるとは思わなかった部分もあったから、自分たちが真のチャンピオンとは思えていないからだと思う」とまだまだ謙虚だ。

自分たちのプログラムの中身にまだ納得のいかない部分があり、「まだまだ足りない部分も多く、世界王者という意識は今のところまだない」という木原。

それでも結果として「世界王者」の立場にある2人に「世界一強い」と聞いて思い浮かぶものを聞くと、全く思い浮かばない木原に対して、すぐに思い浮かんだという三浦。

息ピッタリの答えに「すごー!」となる2人
息ピッタリの答えに「すごー!」となる2人

難しいと首をひねる木原だが、2人で同時に言うと出てきた言葉が全く同じ「ライオン」。木原も思わず「すごー!」と驚くほど、ここでも息がピッタリだった。

強い絆で結ばれ、つらいときも乗り越えてきた2人。

復帰戦となる四大陸選手権を迎える前の2023年12月にトロントにいる2人に話を聞くと、木原のケガを治すことを優先しながらも、復帰に向けてリハビリやトレーニングにいそしんでいた。

再び氷上に戻ってきた2人が四大陸でどんな演技を見せてくれるのか、期待したい。

フィギュアスケート取材班
フィギュアスケート取材班