暗躍する中国系組織
こうした隙間に入り込んだのが、中国系の犯罪組織だ。
ビーチ沿いで屋台を出している人:
中国人同士が好き勝手に銃撃戦をやっていて怖い。
大量の札束を持ち、踊り狂う人たち。これは、タイのメディアが報じたカンボジアの詐欺拠点で活動する中国人グループとみられる映像だ。

犯罪組織は、国外の拠点から電話での詐欺などを繰り返している。
こうした組織は、街のどこに拠点を置いているのか。
中華系レストランなどが並ぶエリアの一角。団地のような建物の出入口には、多くの警備員が出入りする人を厳格にチェックしているように見える。
詐欺拠点の多くは、警戒のため警備員が配置されるという。

周辺では、これまで複数回にわたって、詐欺グループの摘発が行われた。詐欺グループは、このような外部との接触が遮断された空間で活動しているとみられる。
「日本人は高く売れる」
こうした拠点では、詐欺の電話をかけるため、日本人を「かけ子」として集めている実態がある。
カンボジア特殊詐欺拠点・元かけ子:
やっぱり日本人っていうのはまじめなので、高く売れるっていう話はよく聞きます。

我々の取材にこう語るのは、シアヌークビルの詐欺拠点にいたという30代の日本人男性。金を借りていた知人らに日本で拉致され、強制的に連れていかれたという。
取材班はGPSの位置情報を元に、男性が監禁されていたという場所に向かった。
記者:
あの白い建物ですね。かなり高い塀に囲われています。監視カメラがあります。

その場所には、男性が話した特徴と一致する2階建ての建物が…。
複数の車が止まったり、人が出入りするなど現在も何らかの活動をしていることが伺える。
高待遇も過酷な罰金制度
男性が、内部の実態を証言した。
カンボジア特殊詐欺拠点・元かけ子:
6LDKくらいでバルコニーとプールがあって、プールの対岸にははなれも2部屋あって。一言で言うなら豪邸。食事については三食保証されておりまして、全部元締め持ちでした。

詐欺グループは中国人によって取り仕切られ、男性は警察官などを装ってウソの電話をかけさせられていたと話す。さらに、拠点には他にも4人の日本人がいたという。
報酬は日本円にして、月120万円。高待遇だが、その裏にあったのが過酷な罰金制度だ。
遅刻やけんか、無断欠勤をすると多額の罰金を取られるなど、実際は管理側に金を搾取される仕組みだった。
カンボジア特殊詐欺拠点・元かけ子:
月8000ドルの給料がなくなると同時にマイナスになるまでみえたので。命がいくつあっても足りません。

この拠点にいたのは数日間で、その間にだましとった金額は0円だったと話す男性。その後、自力で脱出し、タクシーで日本大使館に駆け込んだ。
