有名シェフの鳥羽周作さんの会社が運営する長野県小谷村の古民家レストランが、9月30日をもって営業を終了した。古民家は村が所有していて、2023年のオープン前に1億2000万円かけて飲食店向けに改修していた。わずか2年での閉店に村長は「残念」と話し、今後も飲食店として活用するため、新たな指定管理者を募ることにしている。
村が1億2000万円かけて改修
小谷村沓掛地区にあるかやぶき屋根の立派な古民家。2023年オープンした「レストランNAGANO」。
9月3日の村議会で、このレストランに関し、小谷村の中村義明村長「9月末の指定管理期間満了をもって辞めたい旨の申し出がありました」と報告した。

2023年、オープンしたレストラン。古民家は、築140年以上の家を村が取得し、約1億2000万円かけて飲食店向けに改修した。
有名シェフ鳥羽周作さんが監修
指定管理契約を結んだのが有名シェフの鳥羽周作さんが代表を務める「sio」。メニューも鳥羽さんが監修した。

オープン当初は、ランチタイムに3000円の鮭定食、ディナータイムに2万円から3万円のコース料理を提供していた。
8月に契約更新しない申し出
村によると、2025年春の時点では、指定管理契約の継続の意思が伝えられていたが、8月になり更新しないとの申し出があったという。

その後、村と運営会社で協議を重ね、契約満了となる9月末での営業終了が決まったという。
中村村長は「村の食材や文化を一生懸命勉強して発信してくれたと認識。お互いに調整してきたが、従業員の居住の課題、村内での働き手が見つからなかったこと。前向きに議論を重ねてきたが、解消には至たらなかった」と述べた。

「sio」はホームページで、「旅の目的地となるようなレストランを目指し、さまざまな業態にチャレンジを続けてまいりました。私たちを温かく迎えてくださった村の皆さま、NAGANOへお越しくださったお客さまに心より感謝いたします」とコメントしている。
村によると、レストランは9月30日をもって営業を終了した。
住民「何か中途半端だった」
村民は「何か中途半端だったね、結局は続かなかった。高級志向でわれわれが気楽に、ちょっとご飯食べ行くかと食堂に行く感じでは行けなかった」、「残念だと思います。すてきだし、ここからだと歩いて行けるので。ただ値段が、もう少しリーズナブルなら行けるかなと思う。もったいない、すてきなもの(古民家)を何にこれからするのか」と話した。
村は新たな指定管理者を募集へ
話題を集めながらもわずか2年で閉業となった古民家レストラン。建物は今後、どうなるのだろうか。
中村村長は「継続にならない点は残念に思う。(今後は)飲食店という形で引き続きやっていただける形になればいい」と述べた。

村は、新たな指定管理者を募り、2026年度をめどに飲食店として活用していきたいとしている。