特殊詐欺の拠点がカンボジアに広がっている。高額報酬を餌に日本人を“かけ子”として集め、暴力と罰金で支配する中国系の犯罪グループ。SNSで助けを求めた男性の証言をもとにFNNは現地に入り、拠点を取材した。

毎週のように救出要請

カンボジア特殊詐欺拠点・元かけ子:
(詐欺行為をやっていたのか?)はい。詐欺行為は行いました

8月、我々は、国外の詐欺グループに関わり命懸けで脱出したという日本人男性から話を聞いた。

きっかけは、男性がSNSに投稿したメッセージ。

「家族・友人へ。私は詐欺組織から脱出し、今プノンペンの日本大使館にいます」

この短い言葉の裏にあったのは、詐欺によるカネと暴力が支配する世界。男性がいたのは、カンボジアの中国系詐欺グループだった。

カンボジア特殊詐欺拠点・元かけ子:
命がいくつあっても足りません。

さらに取材を進めると、カンボジアでは今も、日本人が次々と大使館に助けを求めている実態が明らかに。

在カンボジア日本大使:
救出要請は毎週のようにある。24時間土日も休みなしというか気が抜けない日々で。

日本をターゲットにした特殊詐欺の拠点で、何が起きているのか。

至るところに廃墟…

日本国内で、あとをたたない特殊詐欺被害。多くの犯行グループが拠点としているのが、カンボジアだ。

10月中旬。FNNは、その拠点を取材するため、首都プノンペンから車で3時間ほどの場所にある南部の港湾都市シアヌークビルに向かった。

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かつて「第2のマカオ」を目指し、中国資本による不動産の開発ラッシュが続いた街は、夜になるとカジノや高級ホテルのネオンがきらめき、中国語の看板が目立つ。

しかし、日中に街を歩いてみると、街の至るところに建設中に放置されたとみられる建物がある。

2020年の新型コロナの流行や、中国経済の減速で投資が急停止し、中国企業が撤退。その結果、未完成の建物が360棟以上も放置されるなど街はゴーストタウン状態になった。

トゥクトゥク運転手:
労働者はいるけど建設主がいなくなり、廃墟になっている。

経済の失速とともに治安は悪化した。