気分転換や体の柔軟を目的に行うストレッチ。
しかし、筋肉を伸ばすことから体が硬い状態でいきなりすると「けがをしてしまうんじゃないか?」と心配する人もいるのでは。
特に気温が低い時期では、ストレッチの前に体を温めておく必要があるかどうかも気になる。
ところが、「痛気持ちいいくらいであれば、準備運動をせずともけがの心配はありません」。
こう語るのは、ストレッチに関する研究を精力的に行っている西九州大学リハビリテーション学部准教授で理学療法士の中村雅俊さん。
もしかすると、ほかにも何気なく行っているストレッチで誤解があるのかもしれない。中村さんに、気になるストレッチにまつわるさまざまな疑問を聞いてみた。
体が硬いとはどんな状態?
そもそも「体が硬くなる」とは、どんな状態なのだろうか?
「体が硬くなる原因は筋肉にあります。“冷え”や“長時間の同じ姿勢”などが血行を悪くさせ、筋線維などが強張って硬くなってしまいます。
このような理由から、特に寝起き直後やデスクワーカーが体の硬さを感じるのです」。
睡眠でいえば、例えば6時間寝ている間は、寝返りなどがあったとしてもほとんど体は動かしていない。また睡眠中は、自然に体温は下がっていく。
デスクワークでは、ほとんど同じ姿勢で1日中パソコンに向かっていることが多い。実は同じ姿勢で30~40分くらいもいると、次第に体が動きにくくなってくるという。
そんな“体が硬くなった”と感じたときに行うのがストレッチ。「仕事の合間の度に伸びをしたり肩を大きく回したりするだけでも、十分に意味がありますよ」と中村さん。
実は間違っていた?気になる疑問に回答
体が硬くなるメカニズムが分かったところで、やはり気になるのはストレッチに関するいろいろな疑問。一つひとつ、丁寧に答えてもらった。
疑問1:体を温めるとしやすくなる?
ストレッチの効果を高める方法の一つとして、よく耳にするのが「まずは体の内側から温める」というもの。
例えばストレッチ前に白湯を飲むことだ。“血行促進につながり体が伸びやすくなる”と一度は聞いたことがあるかもしれない。
