冷蔵NGの理由として「冷蔵はでんぷんが老化する温度帯だから」とも言われますが、家庭用冷凍庫の場合、冷凍する過程でその温度帯にさらされます。また、冷凍は電子レンジで加熱する際、加熱が足りないと硬めになり、長すぎると中心が団子のようにつぶれて硬くなりがち。

一方で、冷蔵ならば加熱時間が短く済む上に時間調整のストライクゾーンが広いと感じています。

余ったご飯を冷凍している人は多いはず(イメージ)
余ったご飯を冷凍している人は多いはず(イメージ)

ただし、いずれの場合も冷蔵したご飯は1〜2日程度で食べきることをおすすめします。

ちなみに、私が一人暮らしをしていたとき、夕食の余りご飯は炊きたてのうちに塩むすびにして、粗熱が取れたらふわりとラップをかけて常温に置き、翌朝の朝食にすることがほとんどでした。朝食の余りご飯も同様に、直射日光のあたらない常温に起き、当日の夕食に。

季節や室温などの環境にもよりますが、経験した範囲内では10時間ほど置いても問題ありません。具を入れないのは、具が原因で傷むリスクを減らすため。海苔も傷みやすいので、巻くならば食べる直前に。それでも心配だという場合は、ビニール手袋を使ってむすぶといいでしょう。

朝食に塩むすびがあるときは、あとは味噌汁と漬物を用意するだけ。夕食に塩むすびがあるときは、晩酌の締めに味噌汁と一緒に食べたり、ふき味噌などをのせて晩酌しながら食べたり。個人的には冷めたおむすびこそが真のおむすびだと思っています。

冷蔵庫を味方につけ、ご飯が余ることを恐れずに、ぜひ炊飯を楽しんでみてはいかがでしょうか。

柏木智帆(かしわぎ・ちほ)
米・食味鑑定士、ごはんソムリエ、お米ライター。

柏木智帆
柏木智帆

米・食味鑑定士/ごはんソムリエ/お米ライター。大学卒業後、2005年神奈川新聞社に入社、編集局報道部に配属。新聞記者として様々な取材活動を行うなかで、稲作を取り巻く現状や日本文化の根っこである「お米」について興味を持ち始める。農業の経験がない立場で記事を書くことに疑問を抱くようになり、農業の現場に立つ人間になりたいと就農を決意、8年間勤めた新聞社を退職。無農薬・無肥料での稲作に取り組むと同時に、キッチンカーでおむすびの販売やケータリング事業も運営。2014年秋より都内に拠点を移し、お米ライターとして活動を開始。2017年に取材で知り合った米農家の男性と結婚し、福島県へ移住。夫と娘と共に田んぼに触れる生活を送りながら、お米の消費アップをライフワークに、様々なメディアでお米の魅力を伝えている。また、米食を通した食育にも目を向けている。2021年から「おむすび権米衛」のアドバイザーに就任。
著書に『知れば知るほどおもしろいお米のはなし』(三笠書房)、『お米がもっと好きになる。炊き方、食べ方、選び方』(技術評論社)がある。