私たちがほとんど毎日食べているお米。けれど、生活の中に当たり前にあるものだからこそ、実は知らないことも多いもの。おいしい炊き方や上手な保存方法など、知っているようで知らない話を、お米に魅了されて新聞記者から米農家に転身し、現在は「お米ライター」として活躍する柏木智帆さんが綴る。

新米は水分が多いわけではない

各地で順次お米の収穫が行われています。

日頃ご飯を何気なく食べている人でも、新米は普段よりも選び抜いたお米を買うという人、普段よりも丁寧に洗って炊くという人、まずは白飯だけで食べるという人もいるのではないでしょうか。

日本人にとって「新米」は特別な存在(画像はイメージ)
日本人にとって「新米」は特別な存在(画像はイメージ)
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以前、稲に詳しい農学者から「日本人は新米を心で食べる」と聞きましたが、まさにその通りだと感じています。新米は心して食べたいからこそ、炊き方には悩みますよね。

よく言われているのは「新米は水分が多いから水を少なめに」という炊き方。でも、新米は水分が多いわけではないってご存知でしょうか。

収穫した籾(お米)は機械乾燥が主流です。一般的には水分含有率を15%程度まで落としていきます。収穫してから1年以上経った古米は、新米に比べると保管状況によっては水分が減る場合もあります。

でも、基本的には温度と湿度を管理した環境で玄米のまま保管されているので、大幅に水分が飛んでしまうことはありません。たとえば、「新米」と「年明けのお米」と「春先のお米」を比べると、必ずしも新米の水分が多いとは言えないのです。

水量はまず「いつもどおり」に

では、なぜ新米はみずみずしく柔らかめに炊き上がることが多いのでしょうか。